配分額 *注記 |
11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
2002年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2001年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2000年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
|
研究概要 |
私達は既に発育期マウス脳の脳室壁の細胞がマウスサイトメガロウイルス(MCMV)が感染感受性を示すことを明らかにした(Li&Tsutsui, TERATOLOGY,2000)。また、そこから分離培養したneurospheresはMCMVに感受性を示し、神経前駆細胞の増殖と分化を抑制することを明らかにした(Kosugi et al., Lab Invest 2000)。私達はMCMVの前初期遺伝子プロモーター(IE-pro)導入トランスジェニック(Tg)マウスを作成し、各発育段階でその発現をみたところ、神経発生後期では脳室壁の未分化神経系細胞で発現することを示し、そこから分離した神経前駆細胞の培養ではグリア系前駆細胞で発現することを明らかにした(Li et al., Glia,2001)。私達は大脳スライス培養法を確立し、そこへMCMVの後期遺伝子のひとつにβ-galactosidaseが挿入された変異ウイルスを感染させて解析した。生後週令の進行に伴って感染感受性が低下したが、脳室壁と大脳皮質辺縁に感染感受性細胞が限局して残る傾向が認められた。これらの細胞はGFAP、nestin陽性でグリア系神経前駆細胞であった。MCMVに対する脳の感受性はこれらのグリア系神経前駆細胞の量に相関することが定量的解析から明らかになった(Kawasaki et al., Lab Invest,2002)。周産期マウス脳へMCMVを感染するとNatural Killer (NK)細胞が脳室壁のグリア系感受性細胞に反応し、iNOSを発現するマクロファージの動員などinnate immune反応が起こるが、感染が進行すると神経細胞でMCMV早期抗原が発現するようになり、これらの神経細胞はinnate immune反応が起こりにくく、持続感染へと移行する可能性が示唆された(Kosugi et al., Am J Pathol,2002)。さらにこの早期遺伝子プロモーター導入Tgマウスは神経細胞で発現しやすいことが明らかとなった(Arai et al.,Am J Pathol, revised)。
|