配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2001年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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研究概要 |
腸管出血性大腸菌(EHEC)のワクチン標的となる付着因子intiminとその受容体Translocated intimin receptor(Tir)の遺伝子多型を,臨床分離株において検討した。その結果,O抗原型によって付着因子の付着部位のアミノ酸配列に多型がみられることを明らかにし,ワクチン作成に有効な知見を得た。その過程でintimin/Tirを保有せず腸管凝集付着性大腸菌(EAEC)の付着因子を持つ志賀毒素産生菌を分離し,その付着機構の解析を進めた。 その結果,EAECの病原プラスミド上にある新規ABCトランスポーターAat遺伝子群をクローニングし,外膜を介してバイオフィルム抑制因子Aapを分泌していることを明らかにした。その中の外膜輸送蛋白AatAは,多剤排出ポンプとして注目されている大腸菌外膜蛋白TolCのホモログであった。EAECの腸管粘膜上でのバイオフィルム形成機構の研究に有用な知見であり,その後AatAの構造・機能解析,TolCとバイオフィルムとの関連性の研究に発展した。 疫学的には,本邦およびモンゴルの下痢症患児から分離された大腸菌について病原遺伝子や付着性を検討した。その結果下痢原性大腸菌の中では,EHEC以上にEAECの検出頻度が高いこと,またその病原因子や付着因子に多様性が存在することを明らかにした。その過程で,効率的に付着性の強い大腸菌を検出する定量的バイオフィルム・アッセイを新たに開発した。 以上の知見は,EHEC, EAECを始めとする下痢原性大腸菌の病原性の研究およびワクチン開発に寄与する有用な結果となった。
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