研究課題/領域番号 |
12470222
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内分泌学
|
研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
山口 秀樹 (2002) 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (10305097)
松倉 茂 (2000-2001) 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (70030939)
|
研究分担者 |
矢田 俊彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (60166527)
中里 雅光 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (10180267)
山口 秀樹 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (10305097)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2000年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
|
キーワード | オレキシン / MCH / 視床下部外側野 / 遺伝子発現 / 摂食調節 / 免疫染色 / ノックアウトマウス / in situ hybridization / 摂食調製 / 脳幹モノアミン系 / ノックアウトマウス、 |
研究概要 |
グレリンはヒトおよびラットの胃から単離され、構造決定された新規ペプチドホルモンである。グレリンは28個のアミノ酸残基よりなり、3番目のセリン残基にオクタン酸がエステル結合するという生理活性物質としては他に類を見ない構造をしている。グレリンは強力な成長ホルモン分泌促進作用を有すると同時に、摂食亢進や体重増加、消化管機能調節などエネルギー代謝調節に重要な作用を持つ(Nature1999,Nature2001)。我々のグループはグレリンによる摂食亢進作用の一部は弓状核(ARC)にあるニューロペプチドY(NPY)/アグーチ関連タンパク質(AgRP>産生ニューロンを刺激することによって生じることを明らかにした(Nature2001)。脳内に広く分布しているグレリンレセプター(GHS-R)mRNAは摂食調節を司る重要な部位の一つである視床下部外側野(LH)において発現しており、グレリンの摂食亢進作用はARCばかりではなくLHも介している可能性が考えられる。LHには摂食亢進作用を有するオレキシンとMCH産生ニューロンが存在し、この二つのタイプのニューロンはそれぞれ独立して摂食を調節していると考えられている。本研究はグレリンの摂食調節機序を明らかにするために、LHで産生される摂食亢進ペプチド オレキシンおよびMCHとの解剖学的、機能的連関を検討した。グレリンの投与によりLHにおいてMCHニューロンにc-fosの発現は観察されなかったが、20〜30%のオレキシンニューロンにc-fos発現が観察された。グレリン投与による2時間の摂餌量は抗オレキシンIgGを前投与することによって有意に減少し、一方、抗MCHIgGの前投与による摂餌量の減少は認められなかった。ラット脳を二重免疫染色した切片からグレリン神経細胞がLHにあるオレキシンニューロンに投射していることが電子顕微鏡および光学顕徴鏡で組織化学的に確認された。オレキシンノックアウトマウス(OxKO)と野生型マウス(WT)にグレリンを投与した結果、OxKOの2時間の摂餌量はWTの摂餌量と比較して有意に低値を示した。抗NPY IgGを脳室内に前投与によるオレキシンニューロンのc-fos発現の減少は認められなかった。我々はグレリンとオレキシンの直接的な解剖学的関連を明らかにした。また、グレリンの摂食調節作用の一部が機能的にオレキシンニューロンを介していることを示した。グレリンのオレキシンニューロン刺激に対する間接的作用として、NPYを介した系も存在すると考えられるが、抗NPY IgGを用いた成績において、グレリンによるオレキシンニューロンの活性化に対してNPYの寄与が小さいことを示した。我々はグレリンの摂食亢進機構がArcのNPY/AgRP経路ばかりではなく、グレリンとオレキシンの解剖学的、機能的に直接的な経路によって生じていることを明らかにした。複雑なエネルギー代謝調節機構におけるグレリン作用の理解がさらに深まった。
|