研究課題/領域番号 |
12470291
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
長尾 省吾 香川大学, 医学部付属病院, 教授 (60100947)
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研究分担者 |
河井 信行 香川大学, 医学部付属病院, 講師 (40294756)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2000年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 軽度低体温療法 / 脳梗塞 / 脳内出血 / 急性硬膜下血腫 / 血液脳関門 / 神経細胞死 / Matrix Metalloproteinases / ラット / 脳低温療法 / 脳浮腫 / Matrix Metalloroteinase / 低体温療法 / 機能障害 / 重症脳損傷 / 脳虚血(局所) / 脳出血 / 多核白血球 / インターロイキン1β / intercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1) |
研究概要 |
我々はこの研究期間中に各種脳損傷モデルにおける軽度低体温療法の保護効果について検討し有効性を確認した。まず(1)脳虚血に関しては局所脳梗塞モデルを作成し、虚血中に開始し再灌流後も持続した軽度低体温療法が脳梗塞体積を有意に縮小することを確認し、そのメカニズムとして軽度低体温療法により損傷脳への多核白血球の浸潤が抑制されることを明らかにした。(2)急性硬膜下血腫モデルにおいては軽度低体温療法にアルカリ化剤の投与を追加すると損傷24時間後の血液脳関門の破綻が抑制され脳浮腫が軽減することを確認した。さらに1週間後の硬膜下血腫下に形成される脳梗塞体積が有意に縮小することを明らかにした。(3)自家血注入あるいはトロンビン注入による脳内出血モデルにおいては軽度低体温療法が損傷24時間後の血液脳関門の破綻を抑制し脳浮腫を軽減することを確認し、そのメカニズムとして損傷脳への多核白血球の浸潤が有意に抑制されることを明らかにした。さらに低体温療法はMatrix Metalloproteinases(MMP)の損傷脳における発現を抑制することを確認し、低体温療法の血液脳関門破綻抑制に関して新たな知見を見出した。また砂ネズミに5分間の前脳虚血モデルを用い、低体温療法は1週間後の海馬の神経細胞死を抑制したが、1ヶ月後には約30%の神経細胞が死滅し長期的な効果に問題があることが明らかにした。そこで低体温療法後にNMDA受容体拮抗剤を1ヶ月間にわたって持続投与すると慢性期での神経細胞死が抑制されることを確認し、低体温療法後長期にわたり保護効果を得るためには何らかの後療法が必要であることを明らかにした。現在も軽度低体温療法は最も強力で有効な脳保護法の一つと考えられているが、我々の研究でその脳保護メカニズムの一部が明らかされ、今後の臨床研究における有効性の確立に寄与するものと考えられる。
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