研究課題/領域番号 |
12470355
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内藤 泰 京都大学, 医学研究科, 講師 (70217628)
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研究分担者 |
中川 隆之 京都大学, 医学研究科, 講師 (50335270)
辻 純 京都大学, 医学研究科, 助手 (30252448)
伊藤 壽一 京都大学, 医学研究科, 教授 (90176339)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
2001年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2000年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | 前庭皮質 / ポジトロン断層法 / PIVC / SPM / カロリック刺激 / 眼振 / 緩徐相速度 / 固視抑制 |
研究概要 |
健常成人で温度刺激中の眼球運動と脳血流を同時に計測し、島後方領域、下頭頂小葉、体性感覚野、頭頂葉の楔前部、紡錘状回、舌状回、海馬、大脳基底核の尾状核において有意の脳血流増加を見出した。これらの領域は、他の脳機能画像や脳損傷の所見から空間における運動の方向や速度の認知、姿勢の制御など、高次の視覚や体性感覚処理に関与するとの報告がみられる部位であり、このうち、下頭頂小葉、体性感覚野、頭頂葉の楔前部、紡錘状回では温度刺激時と同じ緩徐相速度を惹起す視運動刺激でも有意の賦活が認められた。今回の結果は、前庭からの情報は皮質では常に視覚をはじめとする他の種類の感覚と統合されて処理されていることを示唆し、従来のサルおよびヒトにおける知見とも良く一致する。 一方、1点を固視することで温度眼振を抑制する課題では、視覚領野の広範な領域に加えて、前頭眼野、紡錘状回、側頭葉の一部に有意の賦活が確認され、また小脳の虫部と片葉にも賦活が認められた。従来から動物を用いた生理学的実験により小脳片葉が前庭刺激による眼振の抑制に関与することが明らかになっていたが、我々の結果は、この様な小脳の機能をヒトの脳機能画像で初めて裏付けたものである。 前庭の温度刺激を反復すると誘発される眼振の緩徐相速度は順応によって次第に低下する。今回、前庭順応に伴って活動が亢進する領域を検索すると小脳の虫部(小節、垂)に加えて大脳皮質の体性感覚野、舌状回、前帯状回が有意に賦活されるという結果を得た。小脳虫部が脳幹の速度蓄積機構を介して前庭順応に重要な役割を果たすことは、既にサルなどの実験で明らかになっており、今回の結果はこれをさらに支持するものである。皮質から前庭神経核への遠心性経路の存在は既に確認されており、今回の結果は、前庭眼反射の固視抑制だけでなく、その順応にも皮質による下位前庭の制御機構が働く可能性を示している。
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