研究概要 |
本研究では,歯周病原性細菌のLPSによるB細胞活性化機構の解明を目的として,まず,LPS受容体であるCD14のB細胞上での発現の有無,発現状態について検討した.次に,CD14依存性および非依存性のB細胞活性化機構について,増殖反応,サイトカイン産生,免疫グロブリンのクラススイッチ等から検討した.さらに,種々の歯周病原性細菌のLPS刺激後のB細胞内シグナル伝達機構についても検討した.その結果,以下の成績を得た. 1.マクロファージ系細胞と比較しその発現量が少ないものの,マウスB細胞株であるCH12.LX細胞はCD14分子を細胞膜上に発現していることが明らかとなった. 2.P. gingivalis LPSは,CD14依存性およびCD14非依存性にB細胞を活性化することが明らかとなった. 3.LPS刺激後のB細胞の増殖活性,IL-6産生,IgM産生等は,CD14非依存性の活性化経路であることが明らかとなった. 4.一方、TGF-β,IgA産生等はCD14依存性に誘導されることが明らかとなった. 5.CD14依存性経路では,LPS刺激はCD14からToll-like receptor-4を介してtransduceされ,B細胞内のNF-κBを活性化することが強く示唆された. 6.IgA産生へのクラススイッチは,CD14非依存性に産生されたIL-6とCD14依存性に産生されたTGF-βの共刺激で誘導されることが示唆された. 7.今回調べたいずれの歯周病原性細菌のLPSも,B細胞内チロシンリン酸化およびスレオニンリン酸化反応を活性化することが強く示唆された.
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