研究概要 |
1.高齢者大学受講生の食生活と咀嚼状況に関するアンケート調査 平成12、13年度の新潟県高齢者大学教養講座受講生を対象に,身体状況,食生活,咀嚼状況,義歯使用状況に関する項目からなるアンケート調査を行い428名から回答を得た.平成11度に実施した調査回答を加算し合計528名(男性308名,女性217名,平均年齢66歳)のデータを分析した。アンケート調査結果から,自立した高齢者の多くは自らを健康と評価し,栄養のバランスの良い食事に留意していた.また,比較的良好な咀嚼能力を保持していた.一方,健康状態の自己評価が悪い群では,摂取しにくい食品が増加する傾向が示され,咬合状態の不良が疑われた.同時に,口腔機能に不満を感じている比率が高かった.高齢者の大多数を占める自立した人々の健康長寿を目指す上で,咀嚼機能を保持することの重要性を再確認した。 2.高齢者における咀嚼能力と栄養摂取状態の調査 上記のアンケート調査参加者で、面接調査に同意した109名(男性39名、女性21名、平均年齢65.3歳)を対象として、1)口腔内状況、2)咬合状態、3)咀嚼能力、4)栄養摂取状況を調査した。アイヒナー分類が同じであっても、義歯装着者は義歯不使用者に比べエネルギー充足率には差が無いものの,タンパク質充足率が低い傾向にあった。義歯不使用者は義歯装着者に比べタンパク質充足率,脂肪エネルギー比率が高く,動物性食品を多く摂取していることがうかがわれた。また,咀嚼能力が高い群ではエネルギー充足率に過不足が少なくなる傾向が認められ、口腔内状態や咀嚼能力は高齢者の栄養摂取に影響している事が示唆された。 これらの研究成果は国内(第104、105回日本補綴歯科学会、第12回日本老年歯科医学会)国際学会(IADR79^<th> General Session & Exhibition、17^<th> International Congress of Nutrition)で発表した。
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