研究概要 |
遺伝子導入培養口腔扁平上皮癌細胞株と非導入株をヌードマウスの舌に移植し、以下の検索を行った。1)MMP-2,-9,MT-MMPとTIMP-1,-2の発現状態を凍結切片上で免疫組織学的に検索し2群間の差異を検討した。2)MMP-2,-9,MT-MMP, TIMP-1,-2の発現の発現状態についてin situ hybridizationの手法を用いて2群間の差異を検索した。3)各種MMPs, MT-MMP, TIMPsならびに各種サイトカインの局在を免疫電顕レベルで検索した。4)MMP-2,-9,MT-MMPならびにTIMP-1,-2のmRNAの発現状態を解析した。5)MMP-2,-9,MT-MMP, TIMP-1,-2の発現ならびに活性化をゼラチンザイモグラム、ウエスタンブロットにて解析した。6)遺伝子導入癌細胞での各種サイトカインの発現状態をRT-PCR法にて解析した。以上の研究結果より、遺伝子導入培養口腔扁平上皮癌細胞株と非導入株でのMMP, TIMPの産生、活性化状態を比較検討し、これら酵素の相互作用機序、ならびに腫瘍転移における役割について検討した。さらに、TMP遺伝子導入による口腔扁平上皮癌の転移阻止の可能性について検討した。 結果:(1)MMP-2,MMP-9,MT1-MMPの発現が腫瘍の転移に重要な役割を演じていることが確認された。(2)高転移腫瘍株においてもTIMP-1,TIMP-2遺伝子の導入によって転移能の抑制が可能であることが示唆された。(3)MMP阻害剤の投与が腫瘍の発育抑制ならびに転移の予防に効であることが示唆された。
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