研究概要 |
成人を対象とした歯周病のリスクファクターに関する総合的調査を,中垣,雫石が担当した.すなわち,中垣は,人間ドック受診者の血液検査値とCPI値による歯周疾患指数との関係を検討し,HDLコレステロール,血清アミラーゼ,血清鉄が進行した歯周炎に関連することを示した.雫石は,リスクファクターとしてのメンタルヘルスを,勤労者のライフスタイルやメンタルヘルス要因と歯周病との関連性を解析し,歯の喪失のリスクファクターになることを示した.次に,庄司は,新成人を対象とした口腔検診を行い,生活習慣や喫煙などが関与することを示した.また,稲垣は,成人の食生活と歯周病との関係を解析し,歯周病治療における食生活の改善を含めた歯周基本治療の重要性を示した.さらに,全身的リスクファクターとして,萩原は,非外科的な歯周治療により2型糖尿病患者においても歯周組織の炎症症状がかなり改善されるが,糖代謝は影響を受けないこと,稲垣は,骨粗鬆症と歯周病との関連について調査し,骨粗鬆症に関する自覚症状がなくても定期的な骨粗鬆症検診が必要であり,歯周病罹患者では,一般のスクリーニング以上に検出率が高く,その進行と骨粗鬆症の病態との関連性を示した. 局所的リスクファクター,すなわち,異常咬合や習癖,特にBruxismは,坂上が,口呼吸は,内藤が,習慣性咀嚼との関係は,鈴木がそれぞれ担当し研究を進めた.坂上は,Bruxismを独自に開発した電子機器により精密に診断し,炎症に咬合性外傷が加わると,骨縁下ポケットだけでなく,歯根面でのセメント質吸収も惹起することを示した.内藤は,重度の歯周炎患者において併発する口呼吸の確立段階について評価し,口呼吸が疑われる徴候の存在がプラークの付着や歯肉炎症に影響することを示した.鈴木は,習慣性咀嚼側と歯周病との関係を分析し,リスクファクターの1つとしての習慣性咀嚼側を位置づけた.
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