研究概要 |
研究成果は次の通りである。 1."角度による曲率"を使用した3次元胴部体表曲面形状の抽出と体型別3次元密着衣の自動作成 151名の成人男子右胴部の石膏体雌型を作製,そのうち150名に設定した基準の181点の3次元座標値を3次元デジタイザで計測,鏡面写像法を用いて全身座標値を求めた。胴部体表面を三角形近似多面体として,各頂点での"角度θ"から点集中のガウスの曲率Kc(2x-Σθ:可展面か非可展面かを判断)と点集中の測地的曲率kc(π-Σθ:境界線の展面面の形状を示す),及び点集中の平均曲率Mc(Σφ_1/2×L_1・・・Σφn/2×Ln)/2:曲面の折れ具合を判断)の3つの曲率を算出,各曲率の組み合わせによる曲面形状から男子の胴部曲面形状の特徴を女子と比較して把握した。上下判定法による凸包から体表面の凸点を抽出して凸面を形成,非凸点を凸面に法線写像して胴部体表面と同様の近似多面体を自動立体裁断による"3次元密着包衣"として構築可能とし,先述の3つの曲率での主成分分析による特徴分類を行い,胴部体表面曲面形状の体型別密着包衣を自動作成できるようにした。男子の体型は女子に比べて可展面を示し衣服パターン設計は容易ではあるが,体形には個々に微妙な差があり体型は分散する。本研究では,個々の体形にも対応した密着包衣の自動作成もできるようなシステムとした。衣服体表面と密着包衣の曲率および体積による密着包衣の空隙量を3次元シミュレーションでの色表示と展開図で示し,体型と衣服着装時の着心地などの情報として消費者にやさしい支援システムとして提供できるようにした。 2."長さによる空隙寸法"と"角度による曲率"を用いたパターン形状の特徴分類と空隙寸法の予測による立体裁断的平面製図パターンの自動作成 151名の胴部石膏体体表面の基準線の"長さ"を計測,長さによる立体裁断的密着衣服原型(密着衣)を女子用に開発していた空隙寸法の人体寸法による予測式を用いて自動平面製図し,男子での空隙寸法の予測によるパターン適合精度を検討,その有用性を確認した。空隙寸法は基準線での密着衣寸法と人体寸法との差で,体表面の凹凸曲面形状に対応して表出する。すなわち,上述の体表面の曲率を長さで捉えたものと考え,空隙寸法を用いて体型分類のためのパターン形状を主成分分析を用いて抽出したが,女子に比べて男子の空隙寸法は小さく個々に分散し特徴抽出が1.の場合と同様に難しかった。そこで,密着衣パターンのダーツやラインの"角度による曲率"を用いてパターン形状の特徴を女子の場合と比較とて把握,主成分分析により分類を行った。男子の密着衣服原型パターンでは背面と側面のダーツ及び肩傾斜が体型別に特徴を示す要因として抽出した。 以上,3次元胴部密着包衣および密着衣の角度による曲率による曲面形状の分類を比較して,これらの形状別の体型の特徴を抽出して体型別のパターン自動作成を曲率および長さにより究明した。
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