研究課題/領域番号 |
12480030
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化財科学
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研究機関 | 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所 (2001-2002) 奈良国立文化財研究所 (2000) |
研究代表者 |
松井 章 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究官 (20157225)
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研究分担者 |
本郷 一美 京都大学, 霊長類研究所・進化系統部門, 助手 (20303919)
富岡 直人 岡山理科大学, 理学部, 講師 (90241504)
石黒 直隆 帯広畜産大学, 獣医学部, 助教授 (00109521)
宮路 淳子 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 学振特別研究員
南川 雅男 北海道大学, 大学院・地球環境科学科, 教授 (10250507)
江上 幹幸 沖縄国際大学, 文学部, 助教授 (30320518)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 15,600千円)
2002年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2001年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2000年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | 家畜化 / ブタ / 古DNA / 安定同位体 / 食物 / イノシシ / 分子系統学 / Sus scrofa / 家畜 / 動物考古学 / 環境考古学 / DNA / 安定同位体食生分析 / 安定同位体食性分析 / 炭素・窒素安定同位体 / 食性分析 / 交易 |
研究概要 |
本研究プロジェクトにおいて、われわれは北海道から沖縄まで、そして朝鮮半島から出土した野生イノシシ、もしくは家畜ブタの資料を実見し、必要と思われる資料から分析用サンプルを採取した。その結果、長崎県の縄文前期の宮下貝塚、愛媛県の弥生前期の阿方貝塚,同県の弥生時代最終末の宮前川遺跡群から出土したイノシシ属のミトコンドリアDNAに、個体数は多くはないけれども大陸由来の東アジアブタのものが存在することを明らかにした。もう一つの新しい研究法は、安定同位体による食性分析を用いた方法で、イノシシが野生資源のみで生育した場合、骨の炭素同位体がC3植物主体を示すが、人間に飼われていた場合、残飯や排泄物で生育するため、窒素の同位体が大きくなるという現象が予想できた。実際の分析結果も、弥生時代に併行する沖縄県貝塚時代後期はじめの具志原貝塚やグスク時代の大里グスクでは、従来、リュウキュウイノシシと考えられてきたイノシシ属の同位体の値がC4植物を与えられていたことを示した。同じ現象が、朝鮮半島の遺跡でも見つかっているので、これらのブタは、大陸のどこかで生育して連れてこられたか、骨付きの肉として搬入された可能性が高いと考えた。これらの結果から、先史時代の沖縄(弥生時代)から北海道(オホーツク文化)にかけて、ブタが飼われていたことは間違いないことが明らかになった。われわれは今後も、遺伝子と安定同位体分析によるこの方法で、類例を増やしていく所存である。
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