研究課題
基盤研究(B)
敷地形状を最適に推定するための敷地境界線の統計的推計方法を開発した。具体的には、暫定的に与えられた敷地境界線データをもとに、接道間口や面積などの敷地情報を使ってより蓋然性の高い境界線を統計推定するプログラムの開発を試みた。敷地の境界線の推定問題を尤度最大化と形状変化最小化という二重目的の最適化問題として定式化した上で、ファジー意思決定理論における概念を導入して推定を行った。東京都における330件の敷地サンプルに適用した結果、約85%の敷地において妥当な結果を得ることができ、プログラムの有効性を明らかにした。また、敷地相互の形状類似度行列から街区の典型敷地を求める方法を開発した。その方法を東京都世田谷区の20街区の敷地データに適用した。その結果、典型敷地は街区の形状にかかわらず、長方形形状が選択される傾向が見られた。このことは一般の敷地選択においても、長方形を重んじることが反映していると思われる。長方形に近い街区においては、短辺奥行き方向の半分の長さの辺を持つ敷地が典型敷地として選ばれる傾向にあり、また、一辺が約半分の敷地がともに典型敷地になるなど街区における敷地割りの経緯(例えば、敷地の細分化)をよく示している。以上の研究結果から、街区区画を最適に分割するための基礎技術およびそのための標準的な敷地の選択についての知見を得ることができた。また、住宅市場において、敷地まわりの問題がどのように価値評価されているかを分析するために、購入者や賃貸住宅居住者のデータをもとに需要構造を分析した。消費者の満足度パターンに4つの類型が見られ、それに応じて住み分けていること、敷地まわりの住環境を住宅と同程度に重視していることなどが明らかになった。
すべて その他
すべて 文献書誌 (63件)