配分額 *注記 |
14,600千円 (直接経費: 14,600千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2000年度: 9,800千円 (直接経費: 9,800千円)
|
研究概要 |
本研究では,異常ドップラー効果による遅波サイクロトロン共鳴相互作用の誘導放射を利用し単一スペクトルの電磁波を得る遅波サイクロトロンメーザを提案した。研究成果の概要を箇条書きにまとめる。 ・磁場システム製作と電子ビーム制御 磁場配意が可変な磁場システムを新たに構築した。磁場コイルの電流分布と磁場配位の関係を定量的に調べ,軸方向414mm,半径方向60mmの範囲で変化率5%以内の磁場が得られた。この磁場による制御により,高真空状態において,60kV程度,数100Aの電子ビームを360mm以上伝搬させることができた。 ・異常ドップラー効果による遅波サイクロトロンメーザの研究 遅波サイクロトロンメーザ動作の理論的解析結果は,米国の雑誌Phys. Rev. Eに論文として掲載された。また,K-Band大口径波形導波管により,チェレンコフ相互作用と遅波サイクロトロン相互作用によるマイクロ波発生について調べた。発振周波数は20-25GHz,発振電力は最大で約100kW(約2%)が得られた。比較的低磁場の領域で,非軸対称モードの発振が確認された。異常ドップラー効果による遅波サイクロトロンメーザ動作と考えられる。磁場によるチェレンコフ相互作用と遅波サイクロトロン相互作用の制御の可能性を示した実験結果である。 ・高周波数化の実験的研究 Q-Band大口径波形導波管を使用して高周波数化の実験を行った。周波数約35GHzのミリ波が得られた。発振電力は最大で30kW程度以下(発振効率は約0.4%)で,K-Bandに比べ約1/4程度であった。 遅波サイクロトロン相互作用とチェレンコフ相互作用との共鳴的動作や低磁場領域での安定化動作にはビームの精度の高い制御が必要である。大電流電子ビーム伝播の高精度な制御およびの技術開発が今後の課題といえる。今後も,理論解析と実験を連携させ,研究を進めていく必要がある。
|