研究課題/領域番号 |
12480209
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 (2001) 東京大学 (2000) |
研究代表者 |
勝木 元也 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 所長 (20051732)
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研究分担者 |
饗場 篤 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (20271116)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
14,700千円 (直接経費: 14,700千円)
2001年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2000年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
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キーワード | Rasタンパク質 / H-Ras / N-Ras / K-Ras / シグナル伝達 / 長期増強 / 海馬 / ノックアウトマウス / Ras / NM-DA受容体 / ハックアウトマウス / トランスジェニックマウス / チロシンリン酸化 / H-ras / K-ras |
研究概要 |
Rasタンパク質は、細胞増殖、細胞形態、細胞の生存等に関連したシグナル伝達に重要な役割を果たしている、しかし、生体での生理的機能については明らかでなく、我々は3種類すべてのras遺伝子ノックアウトマウスを作製し、その解析を始めた。増殖因子刺激に対する細胞内シグナル伝達でのRasタンパク質の重要性からは予想されなかったことであるが、H-ras(-/-)マウス、N-ras(-/-)マウスおよび2重欠損マウスは見かけ上、正常に発生、発達し、明らかな解剖学的異常は見いだされなかった。ところが、H-ras(-/-)マウスの中枢神経系では、グルタミン酸受容体の一種であるNMDAチャンネルのチロシンリン酸化の亢進による活性化、および海馬長期増強の上昇が起こっていた。またRasタンパク質がEGF, FGFなどを初めとする成長因子の受容体を介するほかに、NMDAからのシグナルも伝達していることを明らかにした。このようにRasタンパク質は、発生途上もしくは成体で、様々な外界からの刺激に応答する際に重要な働きをしていることが強く示唆された。一方では、K-rasノックアウトマウスで、心筋細胞の増殖異常や前角ニューロンの細胞死等が起こり、従来から考えらていた細胞増殖や細胞の生存へのRasの関与を裏付ける結果も得た。これまで確立された培養細胞株を用いた実験は、多くの細胞で見られる最大公約数的なRasの機能を明らかとしてきたが、rasノックアウトマウスの解析から、我々は細胞外からの刺激に対する細胞内情報伝達経路の集約点の一つであるRasの機能について、発生の時期、特定の臓器、特定Q細胞で、個別のシグナルに対して検討し、海馬の神経細胞では、NMDA受容体から、p38を通り、さらにその下流にRasが位置しており、p38の死のシグナルをRasの生存シグナルで細胞死を止めていることが示された。
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