研究概要 |
本研究では,シリコン単結晶などのマイクロマシン用材料に注目して,破壊特性について検討し,信頼性があり,寿命予測の可能なマイクロエレメントやMEMS設計のための強度マップを構築するための基礎データを得ることを目的とする。本研究ではシリコン単結晶微小機械要素,ポリシリコン微小試験片,および高純度石英ガラスファイバを対象とした。本研究では新たに微小機械要素用の引張試験機を開発するとともに,引張試験のためのジグを開発し,引張試験が十分な精度で実施できることを確認し,ポリシリコン薄膜では,幅10μmでは引張強度は約0.9GPa,幅5μmでは約3.7GPaと極めて高い強度特性を有していることを示した。さらに,シリコン単結晶微小機械要素では,空気中においてはSCC破壊や疲労破壊を示さないが,強度特性には極めて水環境の影響が大きく,動的な変動荷重と水環境の相乗効果により強度低下が生じることが明らかとなった。この低下は,水環境と動的変動応力によって,微小なき裂が発生,進展し,そのき裂が応力集中を起こして,強度低下を生じさせることを明らかにした。また一方,石英ガラス微小機械要素の環境強度に及ぼす水環境・水浸漬時間の影響について検討し,純度を極めて高めることにより,水環境の影響を受けず,環境ぜい化感受性が低下することを示し,今後の耐環境性のあるマイクロマテリアルの設計指針を得た。
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