研究概要 |
本研究の目的は,静電流体力学(EHD),電磁流体力学(MHD),プラズマ工学,化学工学等を応用して,室内,極限環境下での実験室,クリーンルームあるいは大気環境下での,ダスト,粉じんなどの浮遊微粒子,ならびに従来技術では処理が困難であったガス状有害化学物質を同時に完全除去する新しい環境保全装置の開発を行うことにある.実験装置は高誘電体BaTiO3充てんパックドベッドプラズマリアクタや従来型交流プラズマリアクタと,直流高電圧によるコロナ放電を用いる二段式電気集じん装置を結合させたものである.さらに強力な磁場を発生する直流電磁石を購入し,磁場によるプラズマリアクタの性能向上の可能性を追求した.またプラズマ電源としては,既存の周波数可変AC電源,ローテイティングスパークギャップや安価な小型電源を用いてきたが,本研究では新たに半導体SCRやIGBT素子を使用したパルス高電圧電源をテストし,有害ガス分解の最適化を図った.ガス反応生成物ならびに発生したエアロゾルをFT-IR分析装置とガス分析計で同定および定量測定することにより,化学反応プロセスの解明を行った.またシステムの第2段目である電気集じん装置(ESP)の評価は,一様で乱れの少ない気流を発生させるために小型風洞を作成し,ESPの前後でパーティクルカウンタを使用して,粒子径ごとの集じん効率を求めることにより行った.以上の実験を通し,プラズマリアクタによる分解効率95%,エネルギー消費率SED=30J/L,エアロゾルの捕集効率99.0%を特定の条件下で達成した.次に申請者らが開発してきたプラズマ流のシミュレーションコードを改良して,プラズマリアクタおよびESP内の流れの数値シミュレーションを行い,高効率のための新たな設計指針,タフトコロナ現象解明を行った.さらに磁場がJ性能ならびに流れに及ぼす影響について詳細に検討した.
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