研究概要 |
工作機械や自動車をはじめ種々の機械や構造物を設計する際,それらから生じる振動を想定し,制振材や制振装置などの制御方法を用いることが重要である.近年,高保持力・高残留磁束密度を有する永久磁石が実用化されるに伴い,磁石ばね,磁性流体を用いたダンパなどの磁気制御系の研究が盛んに行われている.磁気浮上制振技術などは物体を非接触で支持することが可能となるため,摩擦,摩耗の問題も少なく,高速運動することが可能であり,振動・騒音も少ないという利点を持つ.また,永久磁石は外部の空間に磁束を安定して供給する事が可能であり,しかも磁界を発生するための電気エネルギーを必要としないという利点を有している.したがって,永久磁石を組み合わせてばねとして利用すると,メンテナスフリーで半永久的なばね構造を作り出すことができる.しかし,一般的に永久磁石の吸引力と反発力を利用した磁石ばね機構は大きな共振ピークをもつため,受動制御による振動絶縁は困難である. そこで,本研究では,永久磁石をエネルギー源とした非線形複合ばねモデルを利用した受動制御による制振を行うことにより、6自由度の振動絶縁装置を作り出すことを目的とする. 1.近似的零ばね特性を有する非線形複合ばねの創出 外径40mm内径18mm高さ10mmの磁界を対抗させるよう一対の中空永久磁石を張り合わせた周期磁界形磁気回路の中心線上を,外径16mm内径10mm高さ20mmの内側磁石を上下運動させる.それによりできた磁石ばねの負のばね定数と絶対値の等しい金属ばねの正のばね定数とを組み合わせるとにより,ばね定数力が近似的に零の部分を作ることができた. 2.振動特性 製作した非線形複合ばねモデル4本によるおもり(192.5kg)の4点支持を行い,振動特性を測定した結果、良好な振動伝達率を得ることができた.
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