配分額 *注記 |
12,600千円 (直接経費: 12,600千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2000年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
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研究概要 |
近年,心筋梗塞・脳硬塞などの重篤な循環器系疾患の発症の増加により,医療コストが増加する傾向があり,また発症した後の社会復帰も重要である.そのため,動脈硬化症の早期段階での診断と適切な治療を可能とする高精度で反復適用可能な非侵襲的診断法と装置の研究開発が必要である.カフ駆血の解除後及び血管拡張薬投与後の血管反応性の検査法は既に開発されている(The Lancet Vol.340,PP.1111-1115,1992).しかし,この検査法では,既存の超音波診断装置の断層像上の距離計測機能を用いて,駆血解除後と拡張薬投与後の動脈内径と壁厚みを,拡張期においてのみ計測し,しかも数分ごとの計測であり,生理的・薬理的刺激に対する過渡応答を,十分な時間・空間分解能と精度で計測しているとは言えない. 本研究では,ニトログリセリン(血管拡張薬)に対する中膜平滑筋の過渡応答である血管拡張反応を,高い空間・時間分解能で検出するための連続計測システムを新たに開発し,従来不可能だった,動脈硬化症の無徴候性段階での検出・評価も含めた,動脈硬化症の早期診断法を目指した.すでに我々は,心筋内・動脈壁内の対象反射体からの超音波反射波の検波出力の振幅・位相の両者を用いて,心筋と動脈壁を高精度にトラッキングし,拍動で大きく動いている心臓・動脈壁内の各点の微小運動速度を計測するための『位相差トラッキング法』を開発した.本研究では,その原理に基づき,高速ディジタル信号処理チップを駆使して動脈壁の厚み変化のリアルタイム計測装置を実現した.壁の両側の変位運動を同時に計測し,それらの差から壁の厚み変化波形をMモード画像に重ねて表示できる.これを動脈壁厚み変化計測に適用し,一拍内で発生する動脈壁の数十ミクロンの厚み変化を再現性良く計測できることを示した.同時に計測する血圧変化から動脈壁の弾性率の評価を可能とした.さらにニトログリセリン投与に対する頸動脈の厚み変化の急速な過渡応答をin vivo実験により評価した.
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