研究概要 |
マイクロバブル発生技術を用いて,閉鎖水域の水質浄化(底質ヘドロを含む)および水生生物の生理活性により水環境の蘇生化に関する研究において,以下の成果を得た. (1)比較的浅いダム貯水池において,無酸素水域化された下層に空気マイクロバブルおよび純酸素マイクロバブルを供給し,その水質改善を行った.マイクロバブルの拡散範囲は,装置設置地点を中心に上下流約100mの範囲に拡散することが明らかとなった.また,溶存酸素濃度が無酸素水域から改善される地点において酸化還元電位の最大値が現れることを明らかにした. (2)マイクロバブル技術をホタテ養殖に適用し,その成長促進を実現することで,養殖期間の短縮,養殖作業環境の改善,味覚の向上,有害重金属物質の除去などを実現した.また,マイクロバブルによるホタテ血流促進効果を解明した.その結果,北海道噴火湾長万部地区における「マイクロバブルホタテ」のブランド化を実現した. (3)マイクロバブル技術を真珠養殖に適用し,アコヤガイの成長促進および斃死防止を実現した.また,マイクロバブルが真珠層の形成に重要な役割を果たすことを明らかにし,従来の2,3倍の効果を得た.さらに,従来の真珠養殖法の重要な改善がなされ,マイクロバブルを用いた新しい真珠養殖法を確立した.同時に,マイクロバブルによるアコヤガイの生理活性効果を確認した.その結果,三重県志摩町における真珠養殖業の復興の可能性を明らかにした. 以上の成果を踏まえながら,マイクロバブルおよびマイクロ・ナノバブルに関する物理化学的解明を進め,第1に,マイクロ・ナノバブルの存在とその上昇速度特性を示し,第2に,マイクロバブルの電位特性,第3に,アルコールマイクロバブルの水素イオン濃度特性を明らかにした.
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