研究概要 |
本研究は,学校建築計画研究者(上野淳,鈴木賢一)と学習指導方法研究者(高浦勝義)が協同し,新しい学習指導方法,総合学習を中心とした新しい学習展開の在り方をモデル化し,これに対応した学校建築計画の在り方,特にその学習スペース構成の在り方をモデル的に提案することを目的としたものである. 2年度間にわたった本研究の主たる成果は次のように要約される. 1)3名の共同研究者が分担・共同して,特に総合学習を中心とした新学習指導要領を試行的・先導的に実践している小・中学校を視察・取材し,その学校運営,学習展開の実際を把握・分析すると共に,学校計画の新しい課題等を整理・抽出した. 2)全国個性化教育連盟に所属する小学校教諭に対し,現在行っている総合学習,実習活動の内容を把握し,これらの活動に関する意識を尋ねる悉皆アンケート調査を行った.この結果から,多岐にわたる総合学習,実習活動のタイプを類型化する分析を行った. 3)総合学習を試行的に実践している小・中学校において児童の学習・生活活動の実際を克明に捉える終日観察鯛査を行い,とくに集団編成と場への展開の実態を分析した(上野・鈴木). 4)国立教育研究所に収集されている総合学習実践校の報告書を整理・検討し,データベースの作成を行った.これらの学習展開のタイプを,特に集団編成や展開する場との関係から類型化する分析を行った.この結果,小学校,中学校の別に,典型的な総合的学習の展開のモデルを整理して示した(高浦). 5)これらの分析に基づき,小学校における学年スペース廻りが備えるべき建築的条件を抽出し,スペース構成ダイアグラムとしてまとめた(鈴木). 6)又,中学校については,ラーニングセンターと教科教室・教科メディアセンターの連携による学校空間の編成計画を提案し,具体的なスペース構成ダイアグラムとしてまとめた(上野).
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