研究概要 |
(1)レーザー特性の解析 レーザーによって励起される振動の強度はレーザーパルスの特性に依存する。2種類のレーザー(パルス幅50μs,エネルギー2.5J,ピーク出力50kWの長パルスYAGレーザーおよびパルス幅10n s,エネルギー0.1J,ピーク出力10MWのQスイッチレーザー)を比較した結果,Qスイッチレーザーは表面に損傷を与えやすく振動は小さいのに対して,長パルスレーザーは損傷を与えず大振幅振動を励起できることがわかった。 (2)レーザーの高速走査による構造材料評価法 金属の大型板構造体への適用を検討した結果、長パルスレーザーを高速走査して発生する板波の面内指向性が周波数により異なり、様々な方向からの散乱波が異なる周波数スペクトルを持つことを利用して、欠陥の位置を迅速に測定する方法を見出した。この方法を250mm×250mmのアルミ板に適用した結果、1回のレーザー走査で走査中心から異なる方向にある3個の欠陥を測定でき、大型構造物の検査への有用性を確認した。 (3)低周波超音波共振による構造材料評価法 タイルを貼った60×300×600mmのコンクリート板の裏面から幅3mm,長さ300mm,深さ10〜40mmのスリットを導入した試料について、検出用レーザービームを被検体上の一箇所に固定して,励起用の長パルスレーザーを走査して被検体全体を走査して映像化を試みた。その結果レーザーが欠陥上部に照射されると周波数1〜10KHzの低周波振動強度が増加し、強度分布画像から欠陥の位置と形状がわかった。また,振動の共振周波数はスリットの深さの増加と共に低下し,有限要素モデルによる計算結果とも一致した。 (4)粗面の振動計測法の高度化 レーザーの走査による広域検査には長時間を要する。そこで検査時間短縮のため、フォトリフラクティブ結晶(BSO)を用いたダイナミックホログラフィー振動映像法に、参照光の位相変調を用いた光ロックイン技術を導入して、振動面分布の迅速映像化技術を開発し、絞り加工を行ったアルミ板や構造用セラミックタイルへの適用可能性を実証した。
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