配分額 *注記 |
10,800千円 (直接経費: 10,800千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2001年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2000年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
|
研究概要 |
本研究は,アーク放電による溶射とグロー放電による成膜を重畳させた薄膜の合成方法を開発し,合成装置を試作してハイブリッド膜を合成することを目的としたものである.研究成果を以下に示す. 1.ホローカソードを有するアーク放電電極と,RF電圧を印加できる基板ホルダを有するハイブリッド合成装置を設計・試作し,実際にDLC薄膜の合成できることを明らかにした. 2.B-C-N膜を合成して,基礎的特性を明らかにした.通常の大気中ではDLC膜と比較して摩擦係数は大きく,耐摩耗性は小さいが,DLC膜では耐えられない500℃の高温下においてもB-C-N膜は安定した耐摩耗性を示す. 3.DLC膜中にTiを添加したTi-DLC膜の合成実験を行い,DLC膜中へのTi添加の影響を検討した.そして,DLC膜中にTiパーティクルが分散したTi-DLC膜を合成することができた.Tiパーティクルの粒径は2〜50nmであることを示し,アーク放電のプラズマガスとして用いているAr流量を変化させることにより,膜中のTi濃度を制御することができ,それにより膜の硬さを変化できることを明らかにした.最後に,Arとともに導入したホローカソードからのCH4と,メインチャンバに導入したC2H2を原料ガスとして合成したTi-DLC膜は,CH4流量を変化させることにより硬さを変化させることができ,膜厚6μmの厚膜合成が可能であることを明らかにした.そして,実際にTi-DLC膜の内部応力を測定することで,残留応力が1GPa程度と従来のDLC膜の2〜10GPaと比較して小さいことを明らかにした. 4.金属添加DLC膜の合成法として,約12μm/hの高速合成を達成した.以上のように,本溶射プラズマCVD法の合成技術は,厚くかつ残留応力を低減してDLC膜を合成することができることから,工具等の表面コーティングに有用であると思われる.
|