研究概要 |
溶湯清浄度の定量的オンラインモニタリングを実現するために高分解能超音波計測システムを設計・試作し,その有効性を実証した.得られた主な結果は以下のとおりである. (1)高性能クラッドバッファーロッドの幾何形状設計の効率化をはかるために数値シミュレーションの利用について検討し,その有効性を実証した.二次元差分法解析によりバッファーロッド内のパルス超音波伝播挙動を系統的かつ詳細に調べ,合理的なセンサー設計を行った. (2)上記の結果に基づいて金属性クラッドバッファーロッドを試作した結果,ノイズエコー(Trailing echoes)のない理想的なパルスエコー計測を可能とする高温センサーが実現できた.ロッド先端のメインエコーのSN比は35dB以上であった. (3)汎用グラブィカルソフトウェアLabVIEWを用いた超音波パルスエコー計測・解析システムを構築した.これにより30Waves/secのリアルタイム計測が可能となった. (4)集束超音波センサーを用いた計測システムを600℃の溶融亜鉛200℃のシリコンオイルなどに適用し,その有効性を検証した. (5)約800℃の溶融アルミニウム中のアルミナ粒子(平均粒径200ミクロン)の検出を試みた.10MHzのパルス超音波を用いることでアルミナ粒子からの明瞭な反射波エコーを捕らえることに成功した.ここで測定した粒子のサイズは超音波波長の1/2以下の大きさである. (6)開発した超音波センサーを溶融マグネシウムの計測に適用した.700℃の溶湯中において鋼製反射板からの明瞭な反射エコーを計測することに成功した.また,同様のセンサーをポリマーのプロセスモニタリングに適用した.さらに,同センサーの温度計測への適用についても検討した. 以上のように,本年度の研究により,溶湯清浄度評価のためのセンサー開発がほぼ完了した.
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