研究分担者 |
中村 成夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (00264078)
脇 道典 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (30037212)
竹中 繁織 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (60188208)
小川 雅司 富士写真フイルム株式会社, 機器事業部・サイエンスシステム, 研究員
近藤 寛樹 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (60038057)
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研究概要 |
ヒトゲノムプロジェクトの終焉を迎えつつある今日,ポストゲノムプロジェクトを支える技術としてタンパクチップが注目されている。タンパクチップは,基板上に異なったタンパク質を固定化したものでタンパク質の機能をハイスループットに調べる手法として期待されている。 本研究では,申請者らがこれまで確立してきた電気化学的DNAチップの技術をタンパクチップに応用することを目的とする。具体的には,マルチ金電極にタンパク質のシステインのイオウ原子を利用して固定化し,分析物を電気化学的に分析しようとするものである。 まず予備的検討として,ペプチドを固定化した金電極を作成し,本手法が実証できることを証明した。金電極表面に荷電数の異なるペプチドを修飾し,フェロセンカルボン酸との相互作用を電気化学的に検出した。カチオン性ペプチドを固定化した電極の場合,アニオン性ターゲットであるフェロセンカルボン酸が静電的相互作用により電極上に濃縮され,フェロセンの酸化還元ピークが増大した。逆にアニオン性ペプチドの場合,ピークは減少し,ペプチドによるターゲットの阻害効果が示された。 次に,DNAの1本鎖と2本鎖を識別するL2-GペプチドのL2部位,Helix G部位などを金電極に固定化させ,フェロセン化した1本鎖または2本鎖DNAとの相互作用を電気化学的に識別できるかどうか検討した。これが達成できれば,DNA結合性タンパクのスクリーニングに利用できる。電気化学的手法に加え分光学的手法や水晶発振子(QCM)を用いた検討からL2-GペプチドのL2部分がDNA結合に関与していること,Helex Gが1本鎖,2本鎖識別に重要なことが明らかとなった。 これらの結果により電気化学的タンパクチップの可能性を開くことができた。今後,走査型電気化学顕微鏡に適用すればさらに異なったタンパク質やペプチドのスクリーニングに利用可能である。
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