研究課題/領域番号 |
12555248
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
無機工業化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 秀章 名古屋大学, 難処理人工物研究センター, 教授 (60109270)
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研究分担者 |
高須 好広 富士精工株式会社, 研究員
笹井 亮 名古屋大学, 難処理人工物研究センター, 助手 (60314051)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
12,100千円 (直接経費: 12,100千円)
2002年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2001年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2000年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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キーワード | CVDダイヤモンド / 超硬合金 / 切削工具 / 窒化ケイ素セラミックス / 密着性 / 切削試験 / 電解処理 / CVDダイヤモンド膜 / ダイヤモンド・コーティング工具 / 窒化ケイ素基板 / WC-Co系超硬合金 / ダイヤモンド状炭素(DLC) / 電解研磨処理 |
研究概要 |
工具への密着性ダイヤモンド被膜の作製は、長寿命かつ正確な切削性能をもつ工具を開発するために重要な課題の一つである。しかしながら、高硬度・高熱伝導性をもつダイヤモンドは、それ自身強固なsp^3共有結合をもつため、多くの基板への密着性が低い。本研究では、基板上に高密着性のダイヤモンド被膜を形成するための手法を確立すると共に、硬質物質に対する加工特性などの切削性能を評価した。当該研究機関で得られた主な結果と結論を以下に示す。 1.窒化ケイ素工具表面へのCVDダイヤモンド被膜の作製と加工 特性CO-H_2を反応物質とした二段階マイクロ波プラズマCVDによる窒化ケイ素基板上への密着性ダイヤモンド被膜の作製に関する研究を行った。基板の十分な前処理とダイヤモンド被膜の厚さを制御することにより、ダイヤモンド被膜内に炭素-炭素間の共有結合をsp^3からsp^2へと傾斜した構造を作製することに成功した。このダイヤモンド被膜窒化ケイ素基板をもちいて、Al-20wt%/Si合金を対象として切削試験を行ったところ、このような手法により作製したダイヤモンド被膜は高い密着性を示すことが明らかとなった。さらに、基板とダイヤモンド被膜間の残留応力をX線応力解析法により求めたところ、このような傾斜構造の形成によりダイヤモンド被膜中で内部応力が緩和されていることを明らかにした。 2.超硬工具表面へのCVDダイヤモンド被膜の作製と加工特性 超硬工具表面への高密着性ダイヤモンド被膜の作製は、超硬工具の応用範囲の拡大のために各方面で強く望まれている。しかし、超硬工具表面とダイヤモンド被膜との密着性が非常に低いため、切削中に簡単に被膜が破壊されてしまう。そこでダイヤモンド被膜を二段階マイクロ波プラズマCVD法により行う前に、電解処理を超硬基板に施した。その結果、液相炭素の黒鉛化を促進する金属Coの除去と同時に、ダイヤモンド被膜と基板との接触面積が増加するため、ダイヤモンド被膜の剥離は抑制された。しかし、実際の切削試験の結果は、ダイヤモンド被膜の基板への密着性が未だ十分でないことを示した。今後、より密着性の高い被膜を作製するためにさらなる研究が必要である。
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