研究分担者 |
島田 良子 京都大学, 化学研究所, 助手 (90346049)
近藤 裕己 旭硝子株式会社, 中央研究所, 主席研究員
姫井 裕助 京都大学, 化学研究所, 助手 (90335216)
内野 隆司 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50273511)
金 基孫 京都大学, 化学研究所, 教務職員 (30303895)
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研究概要 |
光通信や光情報処理の実現のためには,大きな光機能性(主に非線形光学特性)を有する材料の開発が不可欠である.しかし,光機能性の大きな有機系材料は化学的耐久性に問題がある.無機系結晶材料は非線形性は十分大きいにもかかわらず成型性が低く成形加工コストが大きくなる欠点がある.これらの材料系に対し、無機系ガラス材料は加工性・化学的耐久性ともに良好であるが,光機能性が小さいという問題がある.そこで,高い性能指数(FOM)を満たした材料を実現するために無機系ガラス材料に光機能を有する有機分子を含有し,大きな光機能性と加工性・化学的安定性を具備する材料の実現が期待されている.有機分子を無機系ガラスに溶解するためには,ガラス転移点が有機分子の分解温度より低い,いわゆる低融点ガラスを用いる必要がある.しかし,従来報告されている低融点ガラス(PbF_2-PbO-ZnF_2-P_2O_5系)は,鉛を主成分とするために環境問題上好ましくない.本研究では高機能光デバイス用材料への応用を目指し、光誘起屈折率変化(フォトリフラクティブ効果)の大きなガラス材料、および有機分子を含有可能な低い軟化温度を有しつつ環境負荷が小さいガラス材料の開発を目的とする。 大きな光誘起屈折率変化を示す、シリカ系ガラス材料の開発を行い、10^<-3>以上の活性を示す材料を報告した。さらに、それを用いた光導波回路のレーザ直接描画も報告している。また、無水酸塩基反応を用いたガラス合成手法を新たに開発し、様々な活性中心を含有できるホストガラスを報告している。現状では,有機分子含有ガラスではガラス材料は単なる有機分子のホルダーであり,積極的に光機能性の発現には寄与していない。ホストガラスの光機能性と有機分子のそれを同時に有効に利用することができれば,光機能性の飛躍的な増大が期待できる.今後,ホストガラスに大きなフォトリフラクティブ効果が誘起できれば,周期構造と非線形性を最適に設定することにより,性能指数の大幅な増大が期待できる.すなわち,利用波長,有機分子の非線形光学特性に最適化したホストガラスを設計できることになり,「波長可変ファイバグレーティング」や「位相整合非線形ファイバレーザ」等様々な応用が期待できる.
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