配分額 *注記 |
8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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研究概要 |
浸透気化法に用いるエタノール水溶液からエタノールを選択的に透過する高分子膜材料として,ジメチルシロキサンマクロモノマー(DMS)とメチルメタクリレート(MMA)からのグラフト共重合体(PMMA-g-PDMS)およびブロック共重合体(PMMA-b-PDMS)を合成した。これらの共重合体から調製したPMMA-g-PDMS膜およびPMMA-b-PDMS膜のエタノール水溶液の透過分離特性は,共重合体中のDMS含有率に著しく依存し,DMS含有率の少ない膜では水選択透過性を示し,DMS含有率の高い膜ではエタノール選択透過性を示した。これらの選択透過性の違いは,膜のミクロ相分離構造のモルホルジーに依存していることが透過型電子顕微鏡の観察から明らかにされ,DSC分析の結果と一致することが明らかとなった。また,膜の透過型電子顕微鏡観察の結果,PMMA-b-PDMS膜のミクロ相分離構造はPMMA-g-PDMS膜よりPDMS相の連続構造がラメラ構造となっており,エタノール選択透過性に有利なモルホロジーであった。 一方,高い透過速度を有するエタノール選択透過膜の調製を目的として,ポリジメチルシロキサンのエマルションから多孔質膜の調製を凍結乾燥法によって試みた。生成した多孔質PDMS膜の構造を走査型電子顕微鏡で観察したところ,小室を含む連続多孔質構造を有していた。この多孔質膜を用い,温度差制御気化浸透法でエタノール水溶液の透過分離特性を検討した結果,高い透過速度を有するエタノール選択透過膜であることが明らかとなった。供給液と膜周辺との温度差や膜の一次側と二次側の圧力差がエタノール水溶液の濃縮に著しく関係していることが明らかになり,多孔質PDMS膜を温度差制御気化浸透法に適用することにより,高い透過速度とエタノール選択透過性を得ることができ,従来にない高い膜性能を認めた。
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