研究分担者 |
加藤 昌治 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10250474)
尾原 祐三 熊本大学, 工学部, 教授 (50135315)
米田 哲朗 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00002056)
野口 義文 日鉄鉱業(株), 鳥形山鉱業所, 採鉱課長(研究職)
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研究概要 |
残壁の安定性監視は露天採掘鉱山の安全操業に不可欠なものである。そこで,高感度傾斜計測により残壁の異常を早期に検出する方法について基礎研究を実施した。得られた成果を以下にまとめる。 (1)尻屋鉱山の残壁の法面及び床面に高感度傾斜計を設置し,1年半の長期計測を実施した。その結果,本傾斜計は現場長期計測に利用可能であることを確認するとともにベンチ発破や地球潮汐に伴う岩盤傾斜変化の計測が可能であることを明らかにした。また,採掘進行と岩盤傾斜変化との関係を分析し,当サイトのカバーロックが下方に移動しはじめていること,これがカバーロックと基盤との間の不連続面の滑動に起因していること,などを明らかにした。さらに,高感度傾斜計は多段式伸縮計に比較して早期の段階から上記の変状を検出していることが確認され,本手法の残壁監視への有用性が検証された。そして,すでに,本計測は当現場の残壁監視に実用されている。 (2)高感度傾斜計を用いると重機の荷重により岩盤内に生じる傾斜変化が計測可能であることが分かった。そこで,この応用として,重機移動に伴う傾斜変化を計測し,これを弾性理論解および3次元有限要素解析解と比較することにより,岩盤の弾性定数を評価する方法を提案した。 (3)採掘に伴う岩盤の変形挙動を予測するために,採掘フィールド周囲の広域岩盤内の応力場を推定する方法を提案した。提案した広域応力場の推定法は,局所岩盤応力の測定結果を3次元有限要素法により逆解析するものである。また,この方法を鳥形山鉱山に適用し,当地域の広域応力場と広域ひずみ場を推定するとともに,当採掘域の岩盤内の応力分布を推定した。
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