研究分担者 |
高橋 渉 富山県農業技術センター, 農業試験場, 主任研究員
渡邊 朋也 農林水産省, 農業研究センター・研究情報部, 主任研究官
中川 博視 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (90207738)
渡邉 朋成 農林水産省, 農業研究センター・研究情報部, 主任研究官
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配分額 *注記 |
11,300千円 (直接経費: 11,300千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2001年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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研究概要 |
水稲の形態形質は,栽培環境,品種によって大きな変異が認められるとともに,生産性にも顕著な影響を及ぼす.本研究では,気象や栽培条件の影響を取り入れた水稲の生育・形態シミュレーターの開発を試みた.全体のモデルは開発の途にあるが,それを構成する発育ステージ,出葉,分げつ発生,節間伸長,器官空間配置,群落内光環境に関するサブモデルについては次に示す成果を得た.発育ステージと気温から主稈葉齢を推定するモデルを富山県における作況試験によって検証したところ,本モデルは過去15年間の主桿総葉数の変異を高い精度で推定することがわかった.節位ごとの分げつの出現確率に及ぼす気温,栽植密度の影響を富山県における栽培試験データを基に解析し,経験的ではあるが主要な栽培環境要因を取り入れた分げつ増加モデルを提示した.札幌および京都で栽培したコシヒカリの形態データを解析し,葉位別葉身長推定モデルを開発するとともに,地域,年次,窒素供給量による葉身長の変異が,幼穂形成期以前には小さく,それ以降に大きくなることを示した.また,高CO_2濃度が葉身長に及ぼす影響は品種によって異なること,葉身形態の遺伝的変異は,葉身長と葉幅との比率にもっとも顕著に現れること,葉身長・葉幅比が著しく異なる品種でも,個葉面積は葉身長と葉幅に0.75を乗じることによって推定できることなど,環境と遺伝子型の相互作用をモデルに反映させるための重要な基礎情報を得た.器官の空間配置については,葉身形態をポリゴン集合体として表すことによって群落内の光環境の再現や仮想層別刈り取りも可能になった.また,窒素およびCO_2濃度の影響を考慮した光合成速度サブモデルの開発を行った.これらによって形態と環境情報から,光合成推定に必要な情報を提供できる.
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