配分額 *注記 |
12,900千円 (直接経費: 12,900千円)
2002年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2001年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2000年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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研究概要 |
近年土砂災害の被害の多くを占める流動性崩壊は、すべり面でのせん断抵抗力が著しく低下し流体に近いような状態になることを意味している.佐々らは,せん断ゾーンで土粒子の破砕と土の構造の体積収縮が生じ、すべり面のみが液状化する現象、「すべり面液状化」によって発生したことを示した.本研究は現場斜面の傾斜、地質・土質、すべり面深度、飽和度をパラメターとして、流動性崩壊の予測と流動化の程度の予測法を確立することを目的として,佐々が開発した地震時地すべり再現試験機を本研究に用い、「すべり面液状化ポテンシャル」の評価方法を検討している.最終年度である14年度は以下の成果を得た. (1)前年度に引き続き,試料のせん断による粒子破砕の特性を調べるための可搬型「粒子破砕特性試験機」の改良を行った.また,地震時地すべり再現試験で形成される横断面がレンズ状のせん断ゾーンの微細構造について検討を行った.粒度分析等により,ゾーンの上下の境界付近で特に粒子破砕が進行しているという興味深い事実が得られた. (2)平成7年の兵庫県南部地震の際に発生した西宮市仁川地すべり地の斜面から採集した土砂試料に対し、兵庫県南部地震時に記録された三成分地震波形(加速度)データを用い、地震時地すべり再現試験機を使って潜在すべり面付近の土層のせん断挙動を調べた。その結果以下のことがわかった.(a)主要動直後に過剰間隙水圧が発生してもほとんど変位を示さない土層の材料は、すべり面液状化は生じない、(b)主要動直後に蓄積された過剰間隙水圧により、移動し始める土層では、移動に伴い粒子破砕と過剰間隙水圧の発生が継続するため、すべり面液状化に至り、高速長距離土砂流動を引き起こしうる。 (3)兵庫県南部地震で発生した宝塚ゴルフ場地すべりの土について,繰り返し載荷時に発生する過剰間隙水圧を排水せん断時に発生する粒子破砕に伴う体積変化と一次元体積圧縮係数を用いて推定する方法を開発した.これは,実施に困難が伴う非排水せん断でなく,定応力排水試験でも過剰間隙水圧発生予測が可能であることを示しており,上記(1)の粒子破砕特性試験機による試験を工夫すれば現場でもすべり面液状化ポテンシャルの測定が可能であることがわかった.
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