研究課題/領域番号 |
12556045
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
畜産学・草地学
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
西中川 駿 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70041639)
|
研究分担者 |
出口 栄三郎 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70155480)
安田 宣紘 (安田 宣弘 / 安田 信紘) 鹿児島大学, 農学部, 教授 (30041651)
中西 良孝 鹿児島大学, 農学部, 教授 (30198147)
吉田 光敏 鹿児島大学, 農学部, 教授 (00174954)
前田 芳實 鹿児島大学, 農学部, 教授 (50041661)
萬田 正治 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70048106)
中西 喜彦 鹿児島大学, 農学部, 教授 (40041636)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2001年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
|
キーワード | 口之島野生化牛 / 生息域 / 形態計測 / 内部寄生虫 / 疾病調査 / 遺伝的変異性 / 体細胞クローン / 枝肉格付け / 生息確認頭数 / 群構成頭数 / 骨長推定式 / 内部寄生虫相 / プリオン遺伝子 / 体外受精 / 日増体量 / 全身晒骨標本 / 筋繊維型割合 / 膵蛭 / 多型遺伝子座 / テロメアーゼ遺伝子発現量 / 肥育成績 / 遺伝資源 / 生態 / 骨格の形態計測 / 小型ピロプラズマ症 / 蛋白質多型 / 体外受精卵 |
研究概要 |
稀少動物遺伝資源としての口之島野生化牛(以下、野生化牛)の保護と活用を図るため、行動・生態、形態・解剖、疾病、遺伝・育種、繁殖・産肉能力などの特性を明らかにした。得られた結果は以下のとおりである。 1.野生化牛の生息確認頭数は32〜55頭であり、生息域内には3〜5の群れが存在し、1群当たり3〜12頭で構成されていることが明らかとなった。野生化牛は路肩のイネ科草本やリュウキュウチクを飼料資源として利用しているが、そこには多数のキチマダニとフタトゲチマダニが生息しているのが観察された。 2.野生化牛の頭蓋と四肢骨について形態計測学的に解析したところ、野生化牛の雄は見島牛雄ならびに黒毛和種雌と、また雌は見島牛雌と各々ほほ同じ大きさで最も小さいことが示された。また、野生化牛の全身の主な筋肉の組織構造を検索すると、筋線維が細くて密度が高いこと、筋線維型の割合はII型線維が多いことが明らかとなった。 3.野生化牛と放牧牛の寄生虫調査と附属牧場で飼育されていた野生化牛の死亡原因について病理学的検査を行ったところ、それらの寄生虫相はほほ同様であったが、両者に病原性の強いとされる膵蛭の寄生がみられ、この蔓延が危倶された。また、死亡牛の死因は、老衰、外傷、早産など様々であり、特異的な疾病は観察されなかった。 4.野生化牛の糞便および血清を材料として病原性微生物の検索を実施した結果、下痢便からロタウイルスおよび毒素原性大腸菌は検出されなかった。一方、血清の抗体価検査では、牛アデノウイルス7型感染症、牛ウイルス性下痢粘膜症は陰性であったが、牛パラインフルエンザ3型感染症、コロナウイルス感染症は陽性であった。 5.野生化牛の遺伝的特性を明らかにするため、とくに蛋白質多型、カルパイン遺伝子及びAFLPについて解析を行なったところ、野生化牛集団は他の和牛種に比べ、ヘテロ接合体率が低くボトルネックエフェクトにより遺伝子に偏りが生じたことによるものと推察された。 6.ウシ体細胞クローン技術が初期発生過程のリプログラミングやリモデリングに有効であることが遺伝子レベルから初めて明らかとなるとともに、人工授精・胚移植・体外受精等の人工繁殖技術により、野生化牛由来の精子の凍結保存、移植可能胚の作出、子牛の作出に成功した。 7.黒毛和種慣行肥育方式に準じて去勢牛2頭の肥育試験を行った結果、枝肉の歩留りと肉質は中程度であった。
|