配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
2003年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2001年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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研究概要 |
細胞膜の小陥凹であるカベオラは,受容体やシグナル伝達に関連する分子が集合しており,シグナル制御を行う膜領域であると考えられている.我々は生きている細胞に様々な操作を加えてカベオラの機能に変化を生じさせ,そのことを通じて細胞機能を制御する方法を見出すことを目的として研究を行い,以下の成果を得た. 1.細胞質側にのみ露出したカベオリン分子に膜貫通ドメインを接合させ,細胞外に露出した部分を持つ人工蛋白質を作製した.この蛋白質はカベオリンと同じ分布を示すだけでなく,細胞外ドメインに対する抗体で架橋することにより,細胞の一部に凝集する傾向を示した.この方法はカベオラの分布を細胞外から操作するために利用可能であると考えられる. 2.培養カハール細胞を用いた実験により,ジヒドロピリジン非感受性のカルシウム振動がペースメーカー機能に関係すること,カベオラに局在するTRP4を介するカルシウム流入がこの振動に重要であることを明らかにした.カベオラにはIP3R受容体やカルシウムポンプの局在もあり,TRP4はカベオラ機能修飾の新たなターゲットとなりうる. 3.カベオリンが局在し,コレステロールエステルの貯蔵庫でもある脂質滴に,特異的なRab蛋白質(LD-Rab)が局在することを見出した.LD-RabはGTP依存性に脂質滴に集中するだけでなく,脂質滴の構造蛋白質であるADRPの脱落を誘導し,さらに粗面小胞体の一部と脂質滴の密着を引き起こした.LD-Rabの機能は細胞内コレステロール動態に関与していると予想され,その発現操作を通じて細胞膜ミクロドメインの機能制御を行うことができると考えられる. 以上の実験を通じて,カベオラの分布を操作する方法が得られ,またカベオラやカベオリンの機能を修飾するためのターゲットとなる分子を明らかにすることができたと考えられる.
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