研究課題/領域番号 |
12557010
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
赤池 孝章 熊本大学, 医学部, 助教授 (20231798)
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研究分担者 |
前田 浩 熊本大学, 医学部, 教授 (90004613)
西野 博仁 株式会社エイコム, 取締役開発部長
宮本 洋一 熊本大学, 医学部, 助手 (20295132)
小川 道雄 熊本大学, 医学部, 教授 (30028691)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2001年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | NO / NO関連物質 / 3-ニトロチロシン / ニトロ化ストレス / 8-ニトログアノシン / 電気化学検出法 / HPLC / パーオキシナイトライト / ニトロトリプトファン / ニトログアニン / ニトロチロシン / ニトロソチオール |
研究概要 |
NO由来のパーオキシナイトライトなどの活性酸化窒素種は、生体内のチロシン残基をニトロ化し、3-ニトロチロシンを生成する。このことを利用して、3-ニトロチロシンは生体内での活性酸化窒素種の指標として用いられてきた。これまでに、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や質量分析計などによる生体中3-ニトロチロシンの定量的検出法はいくつか報告されているが、装置の特殊性や、試料調整中の問題点から、いまだ信頼度が高く、広く応用可能な方法として確立されたものはない。そこで本研究では、従来法に比べ高感度、高特異的に生体試料の蛋白に存在する3-ニトロチロシンを定量的に検出できる新しいHPLC-電気化学検出法の開発を試みた。 逆相HPLCによる分離後に2つの電気化学検出器を直列して設置し、上流測電極に-900mVの還元電圧により3-アミノチロシンに変換して、下流側電極に+300mVの酸化電圧を加え、下流側電極における酸化電流により検出する定量的測定法を開発した。生体蛋白中の3-ニトロチロシンは、蛋白を酵素的に加水分解したのち、同法を用いて定量し、同一試料中のチロシンとの比によりその生成を評価した。従来法と比較し、この測定系では3-ニトロチロシンの測定感度は5×10^<-15>molと非常に高く、還元電圧変更によるピーク消失により特異性も評価可能であった。また、低い測定電圧は夾雑ピークを減少させ、生体試料の測定でも安定した結果が得られた。 我々はこの方法を用いて、マウスのインフルエンザ肺炎モデルの気管支肺胞洗浄液中の蛋白質や慢性閉塞性肺疾患患者の喀痰中の蛋白質から3-ニトロチロシンの検出・定量に成功した。 尚、ウイルス肺炎モデルにNO合成阻害剤を投与したり、誘導型NO合成酵素(iNOS)欠損マウスを用いて本モデルにおけるNOの役割を検討した結果、NO産生が抑制されることにより(あるいは、NO産生が欠如することにより)、肺炎像の改善とともに有意な生存率の改善がもたらされ、このときの肺内のウイルス増殖は何ら変化を受けなかった。このことから、本病態においては、NOは生体内で有効な抗ウイルス作用を発揮することなく、パーオキシナイトライトなどの活性酸化窒素種に変換されることにより酸化ストレスあるいはニトロ化ストレスのメディエーターとして機能し、細胞傷害や組織障害をもたらすことが示唆された。 さらに、活性酸化窒素種による生体内での核酸ニトロ化反応を解析するため、抗&ニトログアノシン特異抗体を作製し、インフルエンザウイルスおよびセンダイウイルス感染モデルにおける8-ニトログアノシン生成を解析した。その結果、免疫組織化学的解析によりウイルス感染マウスの気管支、細気管支上皮に強い免疫染色が認められ、生体内において8-ニトログアノシンが生成することが証明された。加えて現在、上記HPLC-電気化学検出法を8-ニトログアノシンの測定に応用することにも成功している。 本研究により、NO関連物質測定の全システムがほぼ完成した。今後、各NO関連物質の同時検出システムの構築を行い、さらに様々な生体試料中の検出・定量に展開していく予定である。
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