研究課題/領域番号 |
12557049
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
桑名 正隆 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50245479)
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研究分担者 |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
池田 康夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00110883)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
2002年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2001年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2000年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
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キーワード | 自己抗体 / T細胞 / 血栓症 / リン脂質 / 抗リン脂質抗体 / 免疫療法 / 自己免疫疾患 / エピトープ / 自己反応性T細胞 / 抗原提示細胞 / 習慣性流産 / T細胞リセプター |
研究概要 |
抗リン脂質抗体症候群(APS)は繰り返す動静脈血栓症、習慣性流産をきたす疾患で、患者血清中にはリン脂質に結合した血漿蛋白に対する自己抗体(抗リン脂質抗体)が検出される。患者血清中の抗リン脂質抗体により最も高頻度に認識される対応抗原はβ2-グリコプロテインI (β2GPI)である。抗β2GPI抗体を正常動物に移入することにより血栓症や流産を誘発できることから、抗β2GPI抗体自身の病原性が明らかにされている。本研究では、β2GPIを認識する自己反応性CD4^+T細胞に着目し、抗β2GPI抗体の産生機序を解明することを目的とした。本研究ではAPS患者におけるβ2GPI反応性T細胞について以下の点が明らかにされた。 (1)おもにCD4^+ヘルパーT細胞である。 (2)β2GPIのリン脂質結合部位を含むアミノ酸残基276-290番部分(p276-290)をHLA-DRB4*0103 (DR53)拘束性に認識する。 (3)主要なエピトープはnativeなβ2GPI分子からのプロセッシングでは作られない、いわゆる"cryptic"ペプチドである。 (4)TCRβ鎖には高頻度にVβ7、Vβ8が用いられている。 (5)TCRβ鎖のCDR3には、共通してTGxxN/QあるいはPxAxxD/Eというアミノ酸モチーフが存在する。 (6)抗原存在下で自己B細胞からの抗リン脂質抗体活性を有する抗β2GPI抗体の産生を誘導するヘルパー活性を有する。 (7)多くはIFN-γを分泌するTh0タイプのサイトカイン分泌パターンを示す。 (8)B細胞からの抗β2GPI抗体産生を誘導するヘルパー活性には、IL-6とCD40リガンドを介したシグナルが必要である。 (9)β2GPI反応性T細胞はAPS患者においてin vivoで活性化されている。 (10)β2GPIのリン脂質結合ドメインがリン脂質などとの結合により覆われるとAPCにおけるp276-290の発現が誘導され、β2GPI反応性T細胞の活性化を誘導する。 これらの研究成果からβ2GPI反応性T細胞により誘導される抗リン脂質抗体産生を人為的に制御するための標的分子の候補を同定しえた。今回得られた知見はAPSに対する選択的免疫療法の開発にきわめて有用と考えられる。
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