配分額 *注記 |
12,800千円 (直接経費: 12,800千円)
2002年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2001年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2000年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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研究概要 |
遺伝子治療臨床研究はAlain Fischerらの遺伝子治療患者の中からlymphoproliferative diseaseが起こしたことから、臨床応用への道が疑問視されて来ており、さらに基礎的、臨床的な裏づけが要求されるようになって来た。 我々はこの3年問、慢性肉芽腫症の遺伝子解析と患者調査さらにinterferon-gammaの有用性について報告してきた(Blood98:436-441,2001)。今回杉本博士らとの共同研究の形でこの数年をかけて取り組んだHa-MDR-IRES-gp91retrovirus vectorを用いてin vivo selectionの可能性をEBウイルスにより樹立された患者B細胞、患者CD34陽性造血幹細胞へ遺伝子導入しvincristineによる選択することにより、gp91-phox発現と活性酸素産生を確認した。またマウスの骨髄幹細胞へ遺伝子導入することによりP-glycoproteinとヒトgp91phoxの共発現するマウス好中球を末梢血で確認出来た。同時に両蛋白の発現が低下(サイレンシング)してもpaclitaxelを投与すると、1年間以上に渡り両蛋白の共発現が維持出来ていことが確認された。このことにより、MDR1-bicistronic vectorsがin vivo selection可能な遺伝子治療ベクターであることが証明された(J Gene Med. vol.4,2003in Press)。また、先に導入遺伝子のサイレンシングを克服しようとして開発されたMND retorovirusurs vectorベクターは、ウイルス力価が十分なクローンが得られない結果となった。 一方で、遺伝子導入技術をもちいて、最近明らかになった第4の細胞質因子であるp40phoxの活性酸素産生系における意義を住本博士と共同で明らかにした。この実験では、p40phoxをK562細胞に遺伝子導入することにより、p47-,p67-phoxの細胞膜への移行を促進していることを細胞系で明らかにした。一方で、PC motifのD289A変異およびPB1 motifのK355A変異p40phoxでは促進が起こらないことから、p40phoxはPB1のp67phoxとの結合やPCのp47phoxとの結合することにより細胞の活性酸素産生機構に関わっていることが明らかになった(EMBO J.21:6312-20,200)。更に、活性酸素産生に関与するgp91-phoxやp47-phox, p67-phoxのhomologyであるNox familyやp41-,p51-NOXを発見し、酸素代謝に関わる蛋白群を明らかにした(J Biol Chem 2003 Apr in press)。 このような遺伝子治療の臨床応用と基礎的応用を考えながら、酸素代謝の生体における意義の一部を明らかに出来た。今後さらに、酸素代謝の生物における意味とそれらの臨床的応用としての遺伝子治療開発を目指している。
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