研究課題
基盤研究(B)
平成15年度は表記課題を達成するための準備期間として、下記のような実験を進めた。1)継続的に転写因子間のネットワークを解析し、前年度は下垂体の転写因子で我々が独自にクローニングした転写因子POU-2に相互作用する共役因子であるCLIM2について、さらに他の因子と相互作用する因子を複数クローニングしたが、これらの因子の解析を行った。2)その結果、CLIM2はPOU-2のようなLIMホメオドメイン構造をもち、DNA結合ドメインを持たないLIM only因子グループのうちLMO1,LMO4およびLMO1のホモログDAT1に結合することが明らかになった。中でもDAT1は、幾つかの下垂体ホルモン遺伝子の発現調節に関わる脳が分泌するシグナルホルモン分子であるドーパミンによって転写レベルが調節されていることが報告されている分子であり、脳からのシグナル-共役因子-転写因子-ホルモン遺伝子発現という調節経路の一端が明らかになった。さらに興味あることに、一本鎖DNA結合タンパク質(SSBP2:single strandded binding protein2)がCLIM2に対する相互作用因子としてクローニングされたことで、このことによりLH2がRNAポリメラーゼの働く転写点へと機能する分子機構の一部が実証されたことになる。3)以前より作成した下垂体転写因子を発現ベクターに組み込んだクローンを用いて、生殖腺刺激ホルモン遺伝子の転写に対する効果の有無を検討し、幾つかの因子が転写の促進や抑制に働くことを確認した。また、結合領域を共有する複数の因子間に相互にその活性を促進する関係を見出した。しかも、その作用に対して常に抑制的に働く因子も存在することも明らかになった。
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