研究課題/領域番号 |
12557119
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
佐谷 秀行 熊本大学, 医学部, 教授 (80264282)
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研究分担者 |
中島 元夫 ノルバティスファーマ株式会社, 研究部, グループマネージャー
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
2001年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
2000年度: 7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
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キーワード | 接着分子 / CD44 / メタロプロテアーゼ / 転写制御 / γ-セクレターゼ / カドヘリン / ヒアルロン酸 / 癌浸潤 / 細胞運動 / Ras / Rho / Rac |
研究概要 |
細胞はその表面に発現している接着分子によって周辺の細胞あるいはマトリクスと接着し、その結合と解離の動的調節が、細胞の運動と浸潤を規定する重要な因子であることが最近の研究により明らかになってきている。脳組織ではヒアルロン酸(HA)が細胞外マトリクスとして豊富に存在し、その細胞側レセプターであるCD44分子の役割は脳マトリクス中を移動する脳腫瘍細胞においては、極めて重要であると考えられている。最近、私達は接着分子であるカドヘリンおよびCD44が、共に細胞膜貫通部の直上の細胞外ドメインで切断され、この切断が未知の膜型メタプロテアーゼによって行われていることを見いだしている。また、この切断は細胞の移動・浸潤に不可欠であることが明らかとなり、腫瘍細胞において接着分子の動態を制御することが浸潤に対する治療のキーポイントでなると考えることができる。本研究は接着分子CD44切断の生物学的意義ならびにその阻害剤を見出すための基盤を構築することを目的として行なった。 以下に本年度の成果を要約する。 1)CD44の細胞外ドメインがRasの活性化によって切断を受け、この切断はPI3キナーゼ及びRac、Cdc42タンパクの活性化経路を経て行なわれていることを同定した。逆にRhoの活性化はこの切断を阻害することが分かった。Rasの活性化シグナルが腫瘍細胞の浸潤性を増強する根拠の一つと考えることができる。 2)CD44分子は細胞外ドメインの切断を受けるとすぐに細胞膜と細胞内ドメインの境界部で再び切断を受けることが分かった。更に、この切断はγ-セクレターゼによって行なわれていることも同定した。また、切断後の産物である細胞内ドメインは核内に移行し、さまざまな遺伝子の転写に関わることが明らかになった。現在、各種γ-セクレターゼの阻害剤の脳腫瘍浸潤に対する作用を検討中である。
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