配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
2002年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2001年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
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研究概要 |
Sampsonの逆流説の立場にたつと子宮内膜症には、逆流血中の子宮内膜細胞の腹膜への生着ならびに増殖の過程が存在すると考えられる。これらの過程に腹腔内環境は深く関与していると考えられる。本研究は腹腔内環境を形成する主体である腹腔内貯留液中の各種生理物質に焦点をあて検討した。患者の同意のもと,当科において腹腔鏡下手術を施行した症群の腹腔内貯留液を採取し,ELISA法を用いてSoluble TNF receptor, Stem cell factor(SCF), IL-16,IP-10の濃度を測定,検討した。これらの腹腔内貯留液中濃度は臨床進行期との関係においてそれぞれ特異的な変化を示した。SCF濃度は、1期で非EM例に比べ有意に上昇していたが、進行期が進むとともに低下した。c-kit(SCFレセプター)の子宮内膜症組織における発現も確認され、SCF濃度の上昇が子宮内膜症組織に直接作用している可能性も示唆された。また、sTNFRIおよびsTNFRIIの濃度は、I,II期、III,IV期でほぼ同じ濃度でともに非EM例に比べ有意に上昇していた。sTNFRI,sTNFRIIはTNFaにアンタゴニストとして作用し、月経血とともに腹腔内に逆流した子宮内膜組織、EM組織に対し抗アポトーシス因子として作用し、子宮内膜症の発症・進展に関与していることが考えられた。IL-16濃度はIII,IV期で非EM例に比べ有意に上昇していた。血管新生抑制物質であるIP-10の濃度は、非EM例、I,II期に比べIII,IV期で低値を示した。この結果はIII,IV期の腹腔内貯留液中では相対的に血管新生活性が増加していることを示し、III,IV期の腹腔内貯留液中で増加している血管新生活性がEMの進展を刺激している可能性を示唆している。 以上の研究結果と諸家の報告より、腹腔内の炎症が子宮内膜症の発症・進展に関与していると考え、マウス子宮内膜症モデルにシグナル伝達をターゲットとした抗炎症薬の一つであるP38MAPK阻害薬を投与した。P38MAPK阻害薬はマウスの病巣を縮小させる傾向を有した。
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