配分額 *注記 |
10,100千円 (直接経費: 10,100千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2000年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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研究概要 |
近年,医療で使用されている金属元素や合成有機高分子が原因とされるアレルギー発症等の報告が漸増し,医療材料からの物質溶出と生体への影響を把握し,的確に対応できる体制作りが急務となっている。本研究は,金属イオンとレジン系物質が存在する環境下での培養細胞への物質取り込みとストレスタンパク発現の様相および細胞に与える影響を検索し,その動態を予測するシステムを開発する基盤作りを目的とするものである。本研究の初年度には,小型微量金属測定装置を設置,細胞内に取り込まれた金属イオン濃度の測定が可能となり,この方法でも,従来の原子吸光分光高度計による測定と差異が少ないことを確認した。第2年度には,ヒスタミン測定装置を導入し,アレルギー反応を惹起するヒスタミン量が測定可能となった。アレルゲン性の高い金属について,培養細胞と培養液中のヒスタミン量および金属イオン量の関係を測定し,その影響をヒスタミン量で表現する方法を検討した。ストレスタンパク発現遺伝子を導入した細胞でノースカロライナ大学にて共同実験を行い,このタンパク質が金属イオンに対して細胞増殖への影響に,選択的にかつ防御的に働いていることが判明した。最終年度には,微量金属とヒスタミンの測定を統合するべく,材料から微量溶出した金属やレジン系物質の免疫学的影響下における培養細胞中に含有するヒスタミン量の変化を測定し,生体への影響を投与物質濃度とヒスタミン量から推測するシステムについて検討を行っている。ヒスタミン自体による細胞機能への影響や遅延型アレルギー反応の実験系の確立など,本研究をまとめるにあたり新たに各種検討課題が出てきた。今後は実験系に投与された物質の生体内吸収による細胞増殖への影響だけでなく,化学伝達物質による細胞増殖作用をふまえた検討ならびにストレスタンパク発現の様相に代表されるような各種細胞機能の測定および解析を行いたい。
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