研究分担者 |
橋本 明彦 新潟大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20283020)
大川 成剛 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80143791)
渡辺 孝一 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20018766)
村瀬 潤 堀場製作所, 分析センター, チームリーダー(研究職)
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研究概要 |
金属アレルギーの診断と治療に関しては,疑わしい患者に対して口腔内装着金属の元素を確認することが本質的に重要である.この研究の目的は,蛍光X線顕微鏡分析を使うことにより,患者口腔内から採取した試料が微量であろうとも,金属元素の情報を素早く得ることができる,という予想を確認することである.試料は粒子径9ミクロンのラッピングフィルムを4つに折り,その角で軽く補綴物を擦って採取した.研磨フィルを拡げると,試料は微少な点の様に見え,直径0.1mmのX線ビームを照射できる蛍光X線顕微鏡(XGT-2700,Horiba)により分析した.ルーチン分析では,粉末試料採取,試料の取り付け,蛍光X線検出,及び結果の打ち出しまで含めておよそ8分で十分な情報が得られた.純金の標準蒸着膜を用いて,採取試料量を推定したところ,およそ十ナノグラムであった.試料が非常に微量の場合,蛍光X線のエネルギーが高い元素ほど,定量値が低くなる傾向が認められ,これは,試料厚さが十分取れないことに起因すると推定された.この現象を補うため,試料に高分子膜をカバーして分析することで,低エネルギーX線側を選択的に減衰させると,得られた定量結果は無限厚さの試料に近づいた.歯科用合金の場合,主要元素に関しては数パーセントの誤差で分析可能であることが分かった.微量添加元素については0.5%含まれているZnが高い信頼性で検出できた.以上の結果から,この研究で提案された口腔内装着物からの金属元素分析法は,金属アレルギー診断のための方法として有効なことが分かり,臨床的にも応用可能であることが推定された.
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