研究分担者 |
西村 英紀 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (80208222)
新井 英雄 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70222718)
高柴 正悟 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50226768)
原田 慶宏 ライオン株式会社, 研究開発本部・生物科学センター, 副主任
苔口 進 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (10144776)
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研究概要 |
歯周病の診断における細菌学的検査の必要性は高まっている。これまでの検査は細菌の培養操作を必要とし,膨大な時間と労力を要するものであった。このため,実際の臨床の場に応用することが困難であった。近年,分子生物学の発展により,PCR法を応用した遺伝子レベルの細菌検出法が開発され,急速に臨床応用されつつある。PCR法は感度や迅速性・簡便性には優れているが,定量的な判断は難しい。本研究はこの問題点を解決するためにリアルタイムPCR法を用いた口腔細菌モニタリングシステムの開発を目的とした。 PCRは16S rRNA遺伝子を標的とし,細菌共通のプライマー,歯周病細菌特異的プライマー(Porphyromonas gingivalis, Actinobacillus actinomycetemcomitans, prevotella intermedia用),そして抗生剤(テトラサイクリン)耐性遺伝子tetQ用のプライマーを複数設計して,特異性と定量性の面で優れたプライマーの選択と反応条件の検討を行った。結果として,歯周ポケット内の総細菌と特異細菌の検出・定量が10-10^7cellの範囲で可能となった。PCR産物の検出にはSYBR GreenとTaqMan systemの両方法を用いたが,2方法の間に感度,定量性と特異性においての差はなかった。コスト面ではSYBR Greenの検出法が安価であるために臨床サンプルを用いた実験にはSYBR Greenを用いることとした。 確立したリアルタイムPCR法と従来のPCR法の結果を臨床サンプルで比較したところ,両者の結果は概ね一致した。また薬剤耐性遺伝子tetQの定量も可能となり,薬剤耐性菌のモニタリングを組み込んだ歯周病細菌検査システムを確立することができた。
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