研究概要 |
1.ノーザンブロットによる解析 歯根膜由来線維芽細胞ならびに胎児歯小嚢由来細胞を10%ウシ胎児血清(FBS)存在下で培養し,コンフルエントに達したのち,1%FBSとし24時問培養を続けた.先に作製した種々のエナメルタンパクをこの培養系に添加し,さらに培養を続けた.コントロールとしては,「エムドゲイン」を添加したものを用いた.経時的に培養上清を採取し,一定時間後に細胞を集め,全RNAを抽出した.このRNAを用いて,ノーザンブロット解析を行った.オステオカルシンなどの基質タンパクならびにDermo-1, OSE-1等の転写因子およびアルカリフォスファターゼのcDNAをプローブとして用い,mRNA発現の変動を調べた.mRNA発現誘導を引き起こすタンパクについて,種々の欠失型タンパクを用い,その活性ドメインを同定した.今後これらの同定されたドメインについてPROSITE, Gen Bank等タンパク質のデータベースで,構造について検討を行う予定である. 2.変異型高活性エナメルタンパク断片の作製 これまでの実験で同定された生物活性を有するドメインについて,Kunel法を用いて塩基の置換,欠失,挿入等を行い発現コンストラクトを作製した.これらのプラスミドを用い,上記3の方法により変異型タンパクを発現させ,活性については,上記4の方法で検討し,高活性のエナメルタンパクを得るとともに,タンパクの機能解析を行った. 3.組み換えエナメルタンパクのin vivoアッセイ系における歯周組織再生能の解析 上記の4の実験で得られた生物活性の高い組み換えエナメルマトリックスタンパク断片を用い,動物における歯周組織再生実験を行いつつある.イヌの歯牙結紮による実験的歯周炎モデルを用い,組み換えエナメルタンパク適用群,「エムドゲイン」適用群ならびに対照群とし,その歯周組織再生効果を組織学的に検討する予定である.
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