研究概要 |
統計的手法に基づく医用画像データ処理をより実用的なものにするため,以下の3項目について研究を行った.まず,我々が以前の研究で開発した統計的手法に基づく画像処理アルゴリズムの高速化を行った.統計的手法に基づく画像処理アルゴリズムは,一般に評価関数の最小化に基づくため経験的な画像処理アルゴリズムより多くの計算量を必要とする.そこで,以前の研究で開発した『SPECT・PET画像再構成』アルゴリズムと『MRI画像領域分割』アルゴリズムを実用化に耐え得るように高速化した.ブロック反復や数理計画の手法を導入することで短時間で十分な精度の解を得ることが可能となった.次に,新しい医用画像処理問題への一般化を行った.これまで国内外で研究が少なく我々も未検討の統計的手法に基づく『少数方向投影からの3次元血管像再構成』・『領域分割された吸収マップ再構成』・『医用動画像からのオプティカルフロー抽出』などのアルゴリズムを開発した.数理計画の手法・トポロジー拘束条件付きラベリング法・ウェーブレット変換などの統計的手法に基づく画像処理の分野では独創性の高い新しい概念を導入し,実用性の高いアルゴリズムを開発することができた.最後に,ワークステーション上での医用画像データ解析システムの構築を行った.上記の5つのアルゴリムを実装したソフトウェアのデータ入出力形式を統一化し画像表示などのユーザインターフェースを加え,医用画像データを対象とした画像データ解析システムを構築し動作のテストを行った.
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