研究概要 |
本研究の目的は、申請者らが従来行ってきたソフトウェア品質計測技術に関する研究を発展させ、流動的な分散開発環境においても工学的かつ実用的な計測・フィードバックを行えるような機構を開発することである。このために、モバイル技術を適用した「ソフトウェア開発用可搬式計測・フィードバック支援キット」を開発し、その有効性について確認することを試みた。平成13年度は,In-Situ型ソフトウェア計測のためのプロセスや支援機構について,デバッグプロセスの観察方法,アプリケーションやコンポーネントの利用情報をネットワーク経由で自動収集する方式などについても,検討を重ねた.これらの成果については学会において発表を行った.平成13年度後半から14年度にかけて,この支援キットの試作プラットフォームを,ノート型PC(CPU:モバイルペンティアム800MHz,メモリ256Mバイト,HDD20GB),小型CCDカメラ(USBタイプ、35万画素),無線LANカード(IEEE802.11b)などを用いて構築を試みた.また,異なる組織への出張計測作業を容易にするために,複数組織間での安全かつ簡便な通信を容易にするための技術として,マルチロール形式でのメッセージ仲介メカニズム(メッセージエージェントシステム)を提案し,プラットフォーム上で試作を行った.実現されたプラットフォームは,ビデオ会議機能や上記メッセージ交換システム,ソフトウェア利用情報収集システム等を搭載しており,これらを組合わせて運用することで,複数組織間にまたがったソフトウェア開発プロジェクトに対する実地計測と,簡易的な解析,さらにネットワークを通じた本格的な解析とフィードバックを可能とするものである.今後の課題としてはCORBA等の分散オブジェクト技術に対応することで,外部の一般的なサービスを取りこむことなどが考えられる.
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