研究課題/領域番号 |
12558063
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
續 輝久 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40155429)
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研究分担者 |
真木 寿治 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (20199649)
吉村 康秀 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (60263307)
藏 忍 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90037391)
愿山 郁 九州大学, 大学院・医学研究院, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
2002年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2001年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2000年度: 8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
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キーワード | 酸化的DNA損傷 / 8-オキソグアニン / DNA修復欠損 / 遺伝子操作マウス / 突然変異 / 自然発がん / 変異スペクトラム / 放射線誘発突然変異 / 活性酸素 / 酸化ストレス / 自然突然変異 / ミューテーター / 8-oxo-dGTPase / DNA修復 |
研究概要 |
化学物質や放射線等の変異原性は、大腸菌等の細菌や培養細胞を用いた突然変異の誘発実験により、ある程度推定することはできるが、その結果をそのまま動物個体での変異原性や発がん性にあてはめることには限界がある。生物の種類によって、DNA損傷から突然変異に至る複雑な段階に関与する機構の詳細は異なっており、従って、動物個体を用いた研究が不可欠である。DNAの損傷は2つの過程を経て発がん等に連なる突然変異として固定されることが明らかになってきた。第1のステップはDNA損傷の修復であり、第2のステップは修復を免れたDNAの損傷がDNA複製の過程に入る前に起こる反応である。これら突然変異の生起を抑制するために細胞内で連続して機能している2つの機構について、両方の機能を同時に欠損させたマウスを作出することにより、各種化学物質や放射線等によって誘発される突然変異や発がんについて、高感度に検出する系を確立することを目的とした。対象とするDNA損傷としては、活性酸素によって生じ、特に変異原性が高いことで注目されている8-オキソグアニンや2-ハイドロキシアデニンに焦点を絞って、これらDNA損傷の修復系の遺伝子(Mth1遺伝子等)とミスマッチ修復系の一つであるMsh2遺伝子との相互作用に注目して取り組んだ。近交系C57BL/6Jに戻し交配したMth1遺伝子欠損マウスでは、機能的ホモログを欠く大腸菌のmutT株と異なり、顕著なミューテーター表現型は認められず、Mth1欠損をバックアップする系の存在が考えられた。また、標的マーカーであるrpsL遺伝子内に存在するアデニン塩基のくり返し部分[(A)_5,(A)_6]での1塩基フレームシフト変異が特徴として観察された。1塩基フレームシフト変異の発生は、ミスマッチ修復欠損に特徴的なことであることから、Mth^<-/->,Msh2^<-/->の2重欠損マウスについて解析を行った。その結果、2重欠損マウスはMsh2^<-/->単独欠損マウスに比べて、突然変異頻度が約1.6倍の上昇を認め、さらに酸化的損傷ヌクレオチドに起因すると考えられるG:C→T:Aトランスバージョン型の変異が特徴的に上昇していた。今回の研究成果を踏まえて、8-オキソグアニン等の酸化的DNA損傷の防止・修復系の遺伝子欠損マウスの組み合わせにより、効率良く突然変異原性や発がん性検出するための系が確立できる見通しが得られた。
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