配分額 *注記 |
8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
2002年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2001年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2000年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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研究概要 |
ELISAに用いる、BTトキシン感受性か抵抗性の系統に特異的な蛋白、或いは抗原性を持つ物質の探索を抵抗性の機構解明と関連つけて3年間行った。BTトキシンCry1Acに高度抵抗性のコナガの中腸上皮細胞膜脂質に存在する中性オリゴ糖セラミドは長鎖のオリゴ糖セラミドが感受性のそれに比べ半分程の含量であることが分かった。中腸上皮細胞膜のコレステロール、グリセロール、他の炭化水素などの含量は両系統で殆ど相違はなかった。しかし依然として半量の長鎖オリゴ糖は抵抗性系統にも存在しELISAの指標とすることは出来ない可能性が高い。コナガ中腸の膜タンパクの中腸上皮細胞或いは中腸組織全体の膜結合性蛋白を1次元のSDS-PAGE解析しても両者は殆ど同じバンドパターンを示したが、2次元電気泳動によって両系統の蛋白を分離したところ分子量約4万、等電点5.79の蛋白が抵抗性株に完全に折損していることを発見した。クローニングを行えば、抵抗性コナガを検出するELISA系の実現可能性が示された。 両系統で異なる蛋白を求める実験の過程で、中腸上皮細胞アピカル膜と中腸全組織膜系から抽出した蛋白を用いてCry1Abトキシン結合蛋白のリガンドブロット解析を行い、興味ある結果を得られた。全組織ではCry1Abに結合するタンパクは230,180,127,105kDaであった。一方アピカル膜では230,110,105,60,55kDaであった。アピカル膜で出現した230,110,105,105はアピカル膜上に存在し、アピカル膜単離精製の過程で濃縮された結果Cry1Abとの結合が検出されたと思われる。一方全組織で検出され,アピカル膜から消失した180,127はバソラテラル膜にそんざいするとすいていされた。これらの知見はCry1Abの受容体とされる170-180kDaのカドヘリン様蛋白の存在量がBBM分画では非常に少ないとされてきたことを完全に説明する知見であり、さらに、バソラテラルにある蛋白でCry1Abの受容体とされている170-180kDaカドヘリン様蛋白は、中腸内腔を流れるBTトキシンの受容体とはなれないことを示している。 Cry1Abと膜との相互作用は、Cry1Ac及びCry1Aaとの相互作用が検出できる条件では全く検出できないが、約60倍感度をあげるとトキシン蛋白の膜タンパクへの結合がシグナルとして検出できた。結合が検出された蛋白は300,230,180 127kDa蛋白などであり、Cry1Acの場合は110,105kDa蛋白であることと著しく異なった。一方Cry1Aaの場合は結合するタンパクは127,110,105kDa蛋白であり、これらの結果は、Cry1Abのコナガ中腸上皮細胞への結合が単に弱いと言うだけでなく、結合に関与すると考えられる蛋白種が異なることを意味している。
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