研究課題/領域番号 |
12558080
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
菊池 章 広島大学, 医学部, 教授 (10204827)
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研究分担者 |
岸田 想子 広島大学, 医学部, 教務員 (40274089)
岸田 昭世 広島大学, 医学部, 講師 (50274064)
浅原 利正 広島大学, 医学部, 教授 (70175850)
赤羽 浩一 第一製薬, 創薬第四研究所, 主任研究員
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
13,200千円 (直接経費: 13,200千円)
2001年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2000年度: 9,700千円 (直接経費: 9,700千円)
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キーワード | Wntシグナル伝達経路 / Axin / β-カテニン / Axam / Duplin / Idax / 遺伝子診断 / SUMO化 / 核移行 / APC / β-catenin / GSK-3β / リン酸化 |
研究概要 |
本研究課題の遂行により、3種類のWntシグナル伝達経路の新規抑制分子が単離できた。それらはAxin、Dvl、β-カテニンの結合蛋白質であり、それぞれAxam、Idax、Duplinと名付けた。AxamにはN末端側にimportin αと結合する核移行シグナルが存在して、中央部分にAxin結合部位が存在した。C末端側には、脱SUMO化酵素Senp1の触媒部位と相同性が高かった。Axamにはin vitroと細胞レベルで脱SUMO化酵素活性を示した。Axamはβ-カテニンの分解促進活性を有するが、これにはAxin結合部位と触媒部位の両者が必要であった。また、脱SUMO化酵素を消失した変異体(AxamCS)はβ-カテニンの分解促進活性が減弱した。したがって、Wntシグナル伝達経路の制御にSUMO化が関与していることが明らかになった。Idaxは特徴的な構造は存在しないが、DvlとAxinの結合を阻害して、Wnt依存性のβ-カテニンの蓄積とTcfの転写活性化を抑制した。また、IdaxはWntシグナルによるアフリカツメガエルの体軸形成を阻害した。DuplinのC末端側には塩基性アミノ酸領域とβ-カテニン結合部位が存在した。塩基性アミノ酸領域はimportin αと結合した。また、塩基性アミノ酸領域がDuplinの核内移行に必須であった。Duplinにはβ-カテニン依存性のTcfの転写活性化を抑制し、アフリカツメガエルの体軸形成を抑制したが、塩基性アミノ酸領域を除去したDuplinにはその作用が消失した。したがって、Duplinが機能するためには、核内に存在することが必須であると考えられた。以上の結果から、Axam、Idax、DuplinはいずれもWntシグナル伝達経路の負の制御因子であり、癌抑制遺伝子産物として機能する可能性があると考えられる。私共がWntシグナル伝達経路の負の制御因子として解析してきたAxinとAxilの変異がヒト肝癌と大腸癌で発見された。今後は、ヒト癌におけるAxam、Idax、Duplin異常を検索する予定である。
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