研究課題/領域番号 |
12558102
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
原田 敦史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (50302774)
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研究分担者 |
福島 重人 日本化薬株式会社, 医薬品事業部, 主任研究員
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2000年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 高分子ミセル / pH応答性 / ブロック共重合体 / ヒドラジド基 / アドリアマイシン / 標的指向性 / ポリエチレングリコール / アゾメチン結合 / 制ガン剤 |
研究概要 |
本研究においては、細胞内に取り込まれた際の局所pH変化に呼応して、内包された制ガン剤を効率よく放出する細胞内ミクロ環境応答型高分子ミセルを構築し、効率良くガン標的治療を達成するシステムを開発することを目的としている。具体的には、ブロック共重合体の一方の連鎖の側鎖にヒドラジド基を導入し、そのヒドラジド基を介して制ガン剤であるアドリアマイシン(ADR)を結合させる。ヒドラジド基とADRの間の結合はアゾメチン結合となるためpH変化によって結合している薬物の比率が変化する。すなわち、血流中のpHにおいては安定に結合している薬物が、細胞内リソゾームに取り込まれることに伴うpH低下によって解離し、ミセルから効率よく放出されるシステムの構築が可能である。昨年度までにポリエチレングリコールとポリアスパラギン酸のブロック共重合体(PEG-P(Asp))のP(Asp)側鎖のカルボキシル基にヒドラジド基を導入する合成法を確立し、ADRをブロック共重合体側鎖ヘアゾメチン結合を介して導入可能であることを確認した。得られたADR導入ブロック共重合体から形成される高分子ミセルの有用性を培養細胞系での実験で評価した。培養細胞としてLLC細胞を用い、IC50値の接触時間依存性を評価した結果、いずれの接触時間においてもフリーADRの方が低いIC50値を示したが、時間経過に伴い、その差が小さくなることが確認された。さらに、細胞への取り込み及び細胞内でのADRの放出挙動を共焦点レーザー顕微鏡により評価した。その結果、一定時間接触後、細胞をバッファーで洗浄した際には、検出できるADRは存在しなかったが、時間経過に伴い、細胞内に蛍光分子の局在が認められた。これは、高分子ミセルへ内包されることにより消光していたADRが細胞内エンドソームに存在することにより周囲の環境変化(pH低下)によりADRとブロック共重合体間のアゾメチン結合が解離し、ADRがミセルから放出されたために蛍光を発していることを示すものであり、本研究の目的である細胞内ミクロ環境応答型高分子ミセルが調製されたことが実証された。
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