研究課題/領域番号 |
12558111
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
黒柳 能光 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80170140)
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研究分担者 |
山田 直人 北里大学, 医学部, 講師 (90220392)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2001年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | 角化細胞 / 線維芽細胞 / ヒアルロン酸 / コラーゲン / 培養真皮 / 培養皮膚 / 繊維芽細胞 / バイオ人工皮膚 / 同種培養真皮 / 血管内皮成長因子 / フィブロネクチン / 培養表皮 |
研究概要 |
ヒアルロン酸とアテロコラーゲンの2層性スポンジにヒト皮膚真皮由来の線維芽細胞を組み込んだ「同種培養真皮」を開発した。同種培養真皮に組み込まれた線維芽細胞は、血管新生を促進するために必要な血管内皮成長因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、肝細胞成長因子(FGF)を産生した。また、表皮形成を促進するために必要な角化細胞成長因子(KGF)を産生した。さらに、創傷治癒促進に有効なインターロイキン-6、インターロイキン-8、TGF-βを産生した。凍結保存した同種培養真皮は、解凍後も各種サイトカインを産生する能力を維持できた。全国22の大学病院において臨床研究を展開した。凍結保存した同種培養真皮を解凍後、熱傷や難治性皮膚潰瘍に適用したところ、血管新生に富んだ肉芽組織を形成し、創周囲からの表皮形成を顕著に促進することを確認した。熱傷の壊死組織を切除した創面に6倍に拡大したメッシュ状の自家分層皮膚を移植し、その上に同種培養真皮を適用したところメッシュ間の表皮化が著しく促進された。また、同種培養真皮の適用により形成された移植床に極薄い自家分層皮膚を移植したところ、皮膚の生着は極めて良好であった。このような臨床結果から、同種培養真皮は肉芽組織形成ならびに表皮形成を顕著に促進する効果をもつことが実証された。広範囲重症熱傷の治療に際しては、凍結保存した同種培養真皮を解凍し、この上に自家角化細胞を播種して使用する方法も選択肢の1つとなる。すなわち、患者自身の皮膚少片から採取した角化細胞を初代培養し、これを解凍した同種培養真皮上で培養して患者に移植する。真皮層に対応する部分は同種の線維芽細胞が存在し、表皮層に対応する部分は自己の角化細胞が存在するので、このようなタイプの培養皮膚を「複合培養皮膚」として分類する。ヒト線維芽細胞を組み込んだ同種培養真皮を冷凍保存し、これを解凍して、その上にヒト角化細胞を播種して「複合培養皮膚」を作成して組織学的な研究を行った。同種培養真皮に直接、角化細胞を播種すると角化細胞は均一に重層化しなかった。そこで、同種培養真皮の表面に薄くコラーゲンのゲルをコーティングして、その上に角化細胞を播種することにより角化細胞は均一に重層化することを確認した。この複合培養皮膚をヌードマウスの皮膚全層欠損創に移植して皮膚の再建を組織学的に確認した。
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