研究課題/領域番号 |
12571022
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 沖縄国際大学 |
研究代表者 |
小熊 誠 沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (90185562)
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研究分担者 |
何 彬 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (50305405)
小川 護 沖縄国際大学, 商経学部, 教授 (30248653)
波平 勇夫 (浪平 勇夫) 沖縄国際大学, 学長 (80088757)
潘 宏立 平安女学院大学, 現代文化学部, 助教授 (20321060)
謝 茘 法政大学, 社会学部, 助教授 (90318600)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
14,300千円 (直接経費: 14,300千円)
2002年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2001年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2000年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 祖先祭祀 / 宗族 / 標会 / 風水 / 伝統文化の再興 / 中国の墓制 / 民間金融 / 花卉栽培 / 比較民俗 / 士族門中 / 宗教的性別役割 |
研究概要 |
本研究は、歴史的の交流のあった琉球と福建という二地域を対象とし、両地域における文化的・社会的事象の比較研究を目的とした。中国福建における対象地域は、中琉交易で琉球船の停泊地であった泉州と福州に定めた。 中琉交易に従事し、のちに琉球に定着した福建人を始祖とする久米村系門中のいくつかは、1980年代半ばに祖先の故郷を探す「尋根」(ルーツ探し)を行なった。その後、先祖の「故郷」との交流を続けている。これをきっかけに、福建のほうでは、台湾や東南アジアの華僑による「尋根」が盛んに行なわれるようになり、その対応策として各姓氏の研究会が成立して、各姓氏の歴史研究や海外華僑「尋根」受け入れなどの活動を行なっている。父系血縁による紐帯を基礎とする同姓の親族のつながりである宗親は、伝統的な漢人の宗族ネットワークであるが、現代の経済的・文化的グローバリゼィションのなかで、祖先のルーツを探すという伝統的な観念と現代的な人的ネットワークの再構築がうまく組み合わされ、中国福建における現代の新たな社会的状況の中で「伝統文化の再興」という新しい文化的潮流を生み出している。 中琉の歴史的交流は、沖縄にさまざまな文化の影響をもたらした。祖先祭祀や洗骨をはじめ、風水、亀甲墓、石敢当、獅子などがあげられる。それらの導入経緯の検討も重要であるが、それらが沖縄の文化的脈絡の中でどのように展開して現在に至ったのかという視点を踏まえた上で、福建との比較が必要になろう。そのために、現在の福建におけるこれらの状況を調査した上で、福建と沖縄の文化比較を行なった。 さらに、社会・経済的側面として、民間金融との展開について調査した。福建の民間金融である「標会」と沖縄の「模合」の比較研究は、相互扶助と利潤追求の両側面をもちあわせ、福建では前者から後者へその目的が移行しつつあり、沖縄では後者を目的としたものが多くなっていることなど、さまざまな側面からの比較が可能である。また、経済が急成長している福建地域では、近年花卉栽培が盛んになり、ほぼ沖縄と同緯度の温暖な気候を利用したキク栽培を中心に急成長しており、日本の高い技術力と中国の廉価な人件費や地代を利用した協力体制が今後考えられる。
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